豊かな自然と特産品が彩る福島県・昭和村を訪ねてみた。福島県西部・奥会津に位置するこの村では、春から秋にかけて日本一の栽培面積を誇るカスミソウと、古くから伝わる「からむし織」の魅力に触れることができる。昼夜の寒暖差が生み出す高品質なカスミソウと、山里の知恵から生まれた伝統織物の魅力を探る旅へ出かけよう。

■まるで満天の星のよう
昭和村を歩いていると「カスミソウ200円」と書かれた無人販売所が目に入る。村の特産品であるカスミソウは、その名の通り“霞”のように繊細で美しい花だ。
カスミソウ農家の林玄三郎さんの農業用ハウスを訪ねると、まるで満天の星空のように白い花が広がっていた。林さんによると「昭和村のカスミソウは夜の冷涼な気候と昼間の暑い気候で、芯の硬い立派な花が育つ」という。この昼夜の寒暖差が、高品質なカスミソウを生み出す秘訣なのだ。
春から秋にかけての栽培面積は日本一を誇り、令和4年度には販売額が6億円を突破。昭和村にとって重要な産業となっている。

■歴史を紡ぐ「からむし織」
昭和村のもう一つの特産品が「からむし織」だ。からむし工芸博物館では、その歴史と技術を学ぶことができる。博物館では繊細で美しいからむし織の着物を見ることができる。向こう側が透けて見えるほど薄く織られており、その技術の高さに驚かされる。
7月頃からは畑でからむしの刈り取りが始まる。からむしとはイラクサ科の多年草で、その茎から取った繊維で織物が作られる。昭和村からむし生産技術保存協会会長の五十嵐吉彦さんは「茎から繊維を取り出し、糸を紡いで最終的にからむし織になる」と説明してくれた。
五十嵐さんのからむし畑を訪れると、一面に緑が広がっていた。「上から葉っぱを落とします」という指示に従い、茎の上部から葉を丁寧に取り除いていく。
「この剥ぎ取った葉っぱは来年の肥料にするために畑に戻すけど、上の部分の柔らかい葉っぱは食べることもできます」と五十嵐さん。植物を余すところなく活用する山里の知恵が伝わってきた。

■からむしを味わう!?
特別に、五十嵐さんのお宅でからむしの葉を使った料理をいただくことに。奥様のしおりさんが作ってくれたのは「天ぷら」と「からむし餅」。
からむしの天ぷらは、ほのかな苦さを感じる。「天ぷらにするからこそおいしさが出る」と五十嵐さん。「ご遠方から来た親戚の人などに出すことが多い。お蕎麦のお供にも合います」と教えてくれた。
続いては、じゅうねん(エゴマ)のタレでいただくの「からむし餅」。餅に練りこんだからむしの葉の苦みと、自家製のじゅうねんを摺り砂糖醤油で和えたタレが絶妙にマッチしている。
「道の駅からむし織の里しょうわ」では、からむしを使ったうどんやラーメンも販売している。食物繊維やカルシウムが豊富で体に優しい一品だという。

まもなく本格的な夏が始まる昭和村を、見て・触れて・味わってみてはいかが?

<からむし工芸博物館>
昭和村大字佐倉字上ノ原1(道の駅からむし織の里しょうわ内)
【開館時間】午前9:00~午後5:00(最終入館午後4:30)
【休館日】年末年始
【観覧料】小中学生150円・高校生以上300円

福島テレビ
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