自民党の森山幹事長は、中国の何立峰副首相と大阪市内で会談しました。
会談で中国側は、懸案の日本産牛肉の輸入再開について再開に必要な協定を発効したと伝えました。
自民党・森山幹事長:
(中国・何立峰副首相との会談で)一つの前進を見ることができました。24年ぶりに中国への牛肉の輸出が始まる、そういうことにつながっていくのだろうと思っております。
大阪・関西万博の中国「ナショナルデー」式典に出席した森山氏と何副首相は、式典に先立ち、万博会場内で約30分間、日本産牛肉の対中輸出再開などについて会談しました。
会談後、森山氏は大阪市内で演説し、中国政府が日本産牛肉の輸入再開に必要な日中動物衛生検疫協定を11日に発効したと明らかにした上で、再開に向けて「具体的に話が進むと思う」と述べました。
中国は、2001年に日本でBSE(牛海綿状脳症)が発生したことを受け、日本産牛肉の輸入を停止していました。
大阪・関西万博に関税のキーパーソンが集結するということで、11日は中国の何立峰副首相、そして来週はアメリカのベッセント財務長官が来ます。
まず、11日の会談について中国側は日本産牛肉の輸入再開に必要な協定を発効したと伝えるなど、再開実現に大きな前進となりました。
そして日本は、ジャイアントパンダ新たな貸与を要請したということです。
それ以外にも、中国は日本産水産物の輸入を約2年ぶりに即時再開するなど日本との距離が近づいていると見えますが、その狙いについてFNN北京支局・葛西友久記者に聞きました。
――Q.日本産牛肉の輸入再開ついて
中国には日本の和牛好きが多い。輸入再開なら大きな市場開拓も期待される。
北京のスーパーマーケット責任者は「富裕層向けにとても需要がある。どこよりも早く日本の和牛を仕入れられるよう、早速指示を出した」と話している。
柳澤秀夫SPキャスター:
日中関係は戦後最悪ともいわれていたところで、中国側が日本との関係を少し改善しようという形で、お土産を持ってきたんだと思いますね。
――Q.日本に“接近”!?中国の思惑は…
トランプ関税の影響がある。中国はアメリカから高い関税を課せられていて、経済的なダメージを負う可能性のある日本に手を差し伸べ恩を売るとともにアメリカと日本の引き離しを狙っている。
――Q.この思惑をどのように分析しますか?
柳澤秀夫SPキャスター:
中国はこれまでもアメリカとの関係が気まずくなったり、悪化したりすると日本にすり寄ってくるというパターンを繰り返しています。教科書的なアプローチだと思います。このあとどれぐらい寄ってくるか見極めていかないと、日本側がどう応じていくかは慎重に。
――Q.日本と中国は距離感が近づき連携を進めると、アメリカ・トランプ政権はどう思う?
柳澤秀夫SPキャスター:
ああいう人ですからね。快く思わないのは明白です。その辺は日本もアメリカと中国とどういうふうに向き合うのか慎重に、間合いの取り方が大切になってくると思います。アメリカは中国と日本の動きは慎重に見ています。妙に中国にすり寄ったらトランプ政権とすればまた別の動きをするかもしれないと思います。
アメリカの動きを見ていきますが、ルビオ国務長官は関税を巡って来週、日本との協議があると発言しています。
万博に参加しますベッセント財務長官の訪問に合わせて、会談実施と明かしております。
――Q.赤沢経済再生相が対応に当たるとみられますが、これまで7回訪米し、7度目の時にベッセント財務長官には会えなかったと報じられていますが、交渉の進展見込みはあるのでしょうか?
柳澤秀夫SPキャスター:
いずれにしてもベッセント氏はキーパーソンなんですよね。一連の交渉の中でトランプ大統領が踏み込んだ時にブレーキをかける役割をしてきてます。そういう意味で舞台裏でどういう流れになるか十分に知り尽くしている人です。参議院選挙の投票日の前日19日に来るということで、お祭りではありますが、その舞台裏でどういうやり取りがができるのか。どこまで踏み込むかが一番見どころになってくると思います。
――Q.日本としてはアメリカと中国どっちを見ていけばいいでしょうか?
柳澤秀夫SPキャスター:
どっちかに偏ったアプローチの仕方は決していいことではなく、石破首相は言っていますが、あくまでも日本にとって国益を軸にしたうえで、タイミングで中国やアメリカを慎重に判断していく。どっちかに偏るということではないと思います。両にらみ。したたかにいったほうがいいと思います。