夏場のスキー場のゲレンデに新たな魅力を加えようと、鳥取・若桜町の氷ノ山で、このほと大型バイクでゲレンデを走るイベントが開催された。
全国から集まったライダーたちが、夏のスキー場を疾走…半年以上の試行錯誤を経て実現させた関係者の思いを取材した。

6月28日、若桜町にあるわかさ氷ノ山スキー場に続々と集まってくる大型バイク。
作野俊介記者:
ずらりと並んだBMWのGS、このバイクが走るのはゲレンデです。
BMWの大型バイク100台以上が大集合 氷ノ山で初開催
集まったライダーたちが走るのは、スキー場のゲレンデだ。
このイベントは、世界的な自動車・バイクメーカーのBMWの大型バイク「GSシリーズ」のユーザーが集まって技術の向上や交流を深めるイベントで、9回目となる今回は、初めて氷ノ山で開かれた。

GSバイクユーザーの男性にその魅力を聞いてみた。
GSバイクユーザー・大賀裕之さん:
このバイクは、オンロードはもちろんオフロードも走れる。オールラウンドに使えるバイクです。これは最新のバイクで1300CC。BMWの特徴でもあるボクサーエンジン、水平対向のエンジンです。バイクは重いけど、重心がとても低いので、すごくバランスがとりやすくて乗りやすい。一番はかっこよさで、大きいバイクでオフロードをどこまで走れるかという、その技術を試せるというのが楽しい。

会場には、全国から100人以上のGSライダーが集まった。
参加者からは、「どこでも行けるところ。とにかくかっこいい」、「この一台でなんでもできる。冬にスノーボードをする時も良いなと思っている」、「大きくても意外と軽くて走れる」などその魅力を次々と語る。

ゲレンデには、初心者向けのトレーニングコースを設定。
ライダーは、スラロームや坂でのUターンなど、オフロードでのテクニックを磨いていた。

そしてメインは、ゲレンデを疾走する「ゲレンデクルーズ」。
全長500メートル、平均の傾斜角度8度、最大20度のゲレンデを一気に駆け上がった。
緑まぶしく美しいゲレンデを大型バイクが全速力で駆け上がる姿は、まさに圧巻だ。

イベントでは、ゲレンデだけでなく氷ノ山の林道を体験するツアーも実施。
参加者たちは、本格的なオフロードコースも楽しんだ。

大自然での走行に大満足 「一番GSが生きる場所」
参加者からは「気持ち良かったです。最高ですね。一番GSが生きる場所です」、「気持ち良いです。なかなか普通では走れない場所なので、すごく貴重なチャンスだった」と大自然での走行に大満足だったようだ。
イベントを開催したバルコムモータースの豊田堅志支店長は「普段走ることのできないゲレンデを、いつも走っている仲間たちと一緒に走れて、一言で言えば最高です」と話し、改めてイベントの意義を話すとともに「スキー場といえば冬のイメージしかないが、オフシーズンでもこんな遊びができるんだというのを全国のスキー場に伝えたいです」と今後の展開に向けて意気込む。

暖冬傾向で冬場も苦戦…「グリーンシーズン」の営業強化へ
冬場のスキーシーズンの客入りは、降雪量に左右されるだけに、近年は暖冬傾向が続く中、わかさ氷ノ山スキー場はシーズンオフの夏場、いわゆる「グリーンシーズン」の営業を強化して、このイベントを誘致した。
またシーズンオフとはいえ、バイクでゲレンデが荒れてしまうリスクもあり、半年以上試行錯誤しながらなんとか開催にこぎつけたという。
わかさ氷ノ山スキー場の都築法明社長は、「スキー場のグリーンシーズンの活用は、全国でも同じ課題を持っているが、それに対して新しい取り組みができた。まずはやってみないと始まらなかったというのが本音」と話す。
氷ノ山を“バイカーの聖地”に 継続開催で交流人口増加を
さらに「これが今年だけじゃなくて、継続的に毎年のように行われていくと交流人口にもつながるし、新たな集客の核になる。バイカーの聖地に氷ノ山が選ばれるとうれしい」と語り、苦労して開催したイベントへの手ごたえから、将来的な取り組みにも思いをはせる。
夏場のスキー場を有効活用し、バイクの聖地へ。
従来の常識にとらわれない挑戦が、新たな魅力の発掘につながるといえる。
