岩手県北上市和賀町ではクマの出没が相次ぎ、住民の不安が広がっている。住宅敷地内の車庫にある保冷庫を開け、米袋を荒らすクマの被害が新たに確認された。市や警察は、先日住宅で81歳の女性がクマに襲われて死亡した事件と同一個体の可能性もあるとして警戒を強めている。環境省は「緊急銃猟」のガイドラインを公表し、対策に乗り出した。

米袋荒らされ住民に不安広がる

岩手県北上市和賀町煤孫の住宅敷地内で、7月8日朝、クマによる新たな被害が確認された。
住人が車庫を確認したところ、保冷庫の扉が開けられ、中に保管していた玄米の袋1つが破られていた。北上市和賀町ではクマの出没が相次いでいる。

クマによって壊された保冷庫の扉
クマによって壊された保冷庫の扉
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現場ではコメが地面に散らばり、保冷庫の一部も破損していた。

被害に気づいたのは、住人が午前4時頃に撮影した自宅付近の映像で、クマが田んぼを移動する姿を確認したことがきっかけだった。

米袋を荒らされた住民が撮影した田んぼを歩くクマの映像
米袋を荒らされた住民が撮影した田んぼを歩くクマの映像

家に被害がないか確認したところ、車庫内の保冷庫から米袋が引き出され、荒らされていることを発見した。

女性を襲ったクマと同一個体か

今回クマが出没した場所から北西約3kmに位置する住宅では、7月4日にクマに襲われた女性が死亡しているのが確認されていて、市や警察は、これまで地域で目撃されているクマと同一個体の可能性があるとみて警戒を強化している。

出没しているクマは成獣1頭とみられており、地域住民の不安は増すばかりだ。
被害に遭った住人は「入られるとやっぱり怖いですね。迅速に対応してもらいたい」と切実な思いを語った。

国が緊急銃猟のガイドライン公表

クマをめぐっては、国も新たな動きを見せている。

浅尾環境相は7月8日、市街地にクマが出没した際、市町村の責任で発砲することを可能とする「緊急銃猟」のガイドラインを公表した。

このガイドラインには、住民の避難誘導など安全を確保した上で発砲することなどが明記されている。国は今後、自治体向けに説明会を実施する方針だ。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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