事実上の政権選択選挙と位置づけられる今回の参議院選。
各候補、遊説を続けていますが、もう一方で力を入れているのが、SNSでの発信です。
北海道選挙区で立候補している12人が公示された7月3日から7日までに自身の「X」で配信し、最も閲覧回数が多いものを調べてみました。
少ない人は1300回、最も閲覧回数が多かった候補者は34万回に及んでいました。
SNSは政策の主張や演説会の告知、ランチや横顔を紹介するなど、候補者にとって欠かせないツールとなっています。
しかし、思わぬ落とし穴も。
SNS選挙で私たちが気を付けるべき点を探りました。
「SNS選挙」の側面を持つ、今回の参院選。
触れることが多い若い世代はどう感じているのでしょうか。
「(政治の内容がYouTubeの)縦動画などで流れてきたりした。スクロールしていたら流れてきた」
「わざわざ検索したとかではなく見ていたらたまたま出てきた。1回見るとどんどん出てくる」(いずれも大学生)
意図せず目の前に現れる政治家の主張。
政治に無関心とされる若い世代と政治をつなぐ一面もあります。
「(政治に)参加するようになるきっかけになる意味ではSNSはいいとは思う」(大学生)
とは言え、SNS上の情報は注意して見ているという若者も。
「(流れてくるのは)重要そうなことを言っている一場面だったりするので、それだけを見て『この政治家はどうだ』という判断はしないように見ている」(大学生)
「(兵庫県知事選で)斎藤候補と争ったというより何と向かい合っているのかなという違和感があったのは事実です」(落選した稲村和美氏)
SNSを巡っては、2024年11月の兵庫県知事選で序盤で優勢と伝えられた候補者が「外国人を優遇する」などと発言しているというデマ情報がSNSで拡散。
本人が否定しても止められず、SNSが有権者の投票行動に大きな影響を与えたとされています。
便利な一方で思わぬ落とし穴が潜んでいるSNS。
高齢者世代はどう感じているのでしょうか。
「1日の始まりだね」
浅香博文さん、70歳。新聞を読むことが毎朝の日課です。
自宅で1紙、職場で1紙読み、さまざまな主張を読み解くことで偏らないようにしています。
ただSNSは一切、見ていません。
「私は元々、機械が苦手なの。超機械音痴」(浅香さん)
情報収集はもっぱら新聞とテレビだという浅香さん。
SNSのイメージを聞くと。
「SNSが不必要だとはまったく思わないんですけども、偏見のあるような情報発信をする人がいるからSNSってちょっとおっかない」(浅香さん)
さらに、SNS選挙が盛んになるにつれ、候補者との距離が以前よりも遠くなったように感じています。
「(SNSが盛んな今は)受け手側(有権者)の顔がなかなか分からなくても票になるような時代になってきている。いろいろな手段で情報発信していただければありがたいと思いますね」(浅香さん)
SNS選挙の注意点を政治学に詳しい専門家は…
「マスメディアにあまり流れていないような情報に触れると、自分だけが知っている特権的な立場に立てたような錯覚に陥ることがある。しかし、それは単に間違っているだけという可能性がある。『自分だけはそういうものにハマらない』『大丈夫だ』と思うプライドが危ない」(国学院大学 山本健太郎教授)
有権者にはSNSの情報をうのみにせず、見極める姿勢が問われています。