保護ネコを救うミルクボランティア

保護された子ネコなどを一時的に預かって育てるミルクボランティアの存在。福岡市では2019年度イヌ、ネコの殺処分の数が事実上のゼロとなるなど成果を上げつつある。

哺乳瓶から一生懸命ミルクを飲む小さな子ネコ。福岡県志免町の加奈子さんは生後間もない子ネコを一時的に預かる活動を10年以上続けている。

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「ミルクボランティア」と呼ばれるこの活動、加奈子さんは9月25日現在、まだ目も開いていない子ネコ4匹の世話をしている。

加奈子さん:
乳飲み子って3週間ぐらいまでは自分で排泄ができないんです

ーー人間の子より手がかかる?

加奈子さん:
手がかかるんですよ!

2~3時間おきにミルクを与える一方で、排泄の世話も欠かせない。

最も手がかかる哺乳期の子ネコが離乳するまで約2カ月。病院代を除いても1匹あたり2~3万円ほどかかる。

加奈子さん:
やっぱり高い、医療費。動物は保険がきかない分、個人でするのも人それぞれ限界が違うのかな

福岡市の東部動物愛護管理センターには、市民が保護したり、飼い主が手放したりしたイヌやネコが持ち込まれる。

東部動物愛護管理センター所長 藤沢大さん:
以前に比べるとセンターに収容される犬猫の数は減っているが、いまだに年間500頭近くが収容される。中でも多いのが子猫、全体の8割近くを占めています

手のかかる小さな子ネコは、限られた職員では対応が難しく、これまで殆どが殺処分されてきた。そうした子ネコを少しでも減らそうと、福岡市が2016年に始めたのが、ミルクボランティアの制度だ。

センターに持ち込まれた授乳期の子ネコを、研修を受けた市民ボランティアが一時的に預かり、ミルク代や治療費などは市民からの寄付金や市の獣医師会との連携で支援する。生後2カ月まで育った子ネコは動物病院などが仲介し、飼いたい人に譲渡する仕組みだ。

現在、福岡市では一般家庭を中心に約70組が協力している。活動が実を結び、2019年度、病気などやむを得ない場合を除き、イヌだけでなくネコの殺処分ゼロを初めて達成した。

東部動物愛護管理センター所長 藤沢大さん:
殺処分ゼロは行政だけでできるものではないので、ひとりひとりが適正に動物を飼育する、動物愛護の精神を持つこと。そういったことについて考えて欲しい。ペットは10年、15年と一緒に暮らすものなので、先を見越して飼い始めて欲しい

ミルクボランティアを個人で続ける加奈子さんは、福岡市のような支援体制の広がりを求めている。

加奈子さん:
1匹でも多く、助かる子が増えると思うんです。個人でもできるよっていう人と繋がっていればお願いすることもできるし、その人たちが増えれば増えるほど引き出せるネコも増えると思う

また加奈子さんは、数が多い野良猫の不妊去勢手術を補助金などでカバーできる仕組みができればとも話す。

小さな命をつなぐミルクボランティア。官民が連携した取り組みがますます求められている。

(テレビ西日本)

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