酷暑が続く福島県。さらに厳しい暑さが予想されるこれからの時期に向け、矢吹町では高温から農作物を守るため緊急の対策会議が開かれた。
■農業関係者が情報共有
7月上旬だというのに7日の福島県内は、伊達市梁川で今シーズンで最も高い最高気温37.4℃を観測するなど、猛暑日になる地点もあった。
そんななか、矢吹町の農業総合センターで行われたのが、記録的な暑さから農作物を守るための緊急の「高温対策会議」だ。
福島県内の農業関係者・約60人が参加し、現在の成育状況や予想される被害について情報を共有した。
福島県農業振興課・遠藤崇寛さんは「夏野菜や秋には水稲をはじめとした農作物の収穫が始まってくる。今後、影響を最小限に食い止めていきたいと開催させていただいた」と語る。
■酷暑続き降水量少なく
福島地方気象台によると、今後1カ月は厳しい暑さが続き、平年より降水量が少なくなる見通しだ。福島県農業振興課の遠藤さんは「それぞれ品目や地域に応じて、選択できる技術はいくつかあると思う。しっかりと対策を実施していければ」と語った。
■暑さの影響がコメ作りにも
暑さへの警戒を強める農業関係者。しかし、その影響はすでにコメ作りの現場に出始めている。
湯川村の勝常(しょうじょう)地区。いまは田んぼの水を抜いて乾燥させる「中干し(なかぼし)」を行っている。土を空気に触れさせることでイネの生育を促すなどの効果があるが、一部でイネが枯れているところが見つかり始めた。
コメ農家の高橋勝彦さんは「心配はしてたんだけど、なかなか手が回らなくて、こんな感じになっちゃったな」と話す。
■通常より早くメタンガスが発生
暑い日が続いたことで、土に混ぜ込んだ藁など有機物の腐敗が進み、通常よりも早くメタンガスが発生。田んぼに水が張られている時期はガスの逃げ場がなく、稲の根を腐らせてしまった。さらに、高温下で大量発生するアオミドロも成長を妨げる要因になったという。
高橋さんは「これからは(暑さに強い)ちょっと違う品種にするしかないんじゃないかな」と話す。
コメ農家を悩ませる連日の暑さ。先行きに不安を募らせている。