10万円の給付金の他にも、追加でお金がもらえる東京都の千代田区と品川区など、こうした私たちの生活に直結する政策を決めているのは、県や市の政治を司る地方議員。そこで、地方議員それぞれの勤務の様子を観察してみると、信じがたいサボり議員の実態がわかった。

議会中に信じられないサボり 神奈川県議会を観察

新型コロナウイルスの感染者が、全国で3番目に多い神奈川県。

議員の数は105人。彼らはいったいどんな仕事をしているのか?イット!取材班は、9月7日に神奈川県議会を訪れた。

黒岩祐治知事:
初めに新型コロナウイルス感染症についてです

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新型コロナ対策など県政取材報道のため、議会から許可をもらい撮影開始。

しかし、議員の多くはおそらくカメラが入っていることに気づいていない。勝手に観察させていただいた。

知事から見えにくい場所にある一番後ろの席に注目してみると、2人の議員が目を閉じていた。

よく見ると、奥に座る持田文男議員の頭がゆっくり傾いている。居眠りだろうか。

手前の竹内英明議員の机の上には、この日の資料を見るために支給されているノートパソコンなど、仕事に必要な物は置かれていない。

さらに席を見渡すと、田村ゆうすけ議員や菅原直敏議員、そして小野寺慎一郎議員や武田翔議員も…この日、確認できただけで6人が静かに目を閉じていた。

一方、松田良昭議員は、パソコンの画面を見つめていた。その視線の先には、電子書籍サービスの「Kindle」。読書をしていた。

「脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!」という本のタイトルが確認できる。

本会議中に読書をする松田議員のホームページを調べてみると、趣味の欄には「読書」とあった。

神奈川県議の報酬は、コロナ禍の今年度でも年収1635万4200円。加えて636万円の政務活動費が支給され、もちろん税金が使われている。

さらに観察を続けると、一番後ろの席でパソコン画面を見つめる議員がもう1人いた。立憲民主党の松崎淳議員、愛称は「まつじゅん」だ。

見ているのはショッピングサイト「Amazon」。どうやら、おもちゃを探しているようだ。

検索した文字を拡大してみると「2歳」「誕生日「女の子」「知育」の文字。

本会議中に、誰かの誕生日プレゼントを探しているのだろうか?しかし、この時はたまたま魔が差してしまっただけかもしれない。

そこで、この議員の様子を引き続き勝手に観察してみることに。

議会のほとんどの時間をスニーカー検索に費やす

9月10日、本会議2日目。

代表質問:
新型コロナウイルスの影響により、県政収入が大幅な減収となることなどから…

同僚議員の代表質問を聞いている松崎淳議員。

ところが20分後、パソコンを見始めた。見ているのは「BUYMA(バイマ)」。日本にいながら海外のブランド・アイテムを買うことができる通販サイトだ。

入力した文字は「サイズ感」「ナイキ」「エアジョーダン1」。プレミアがつくものもある高級スニーカーだ。値段は1万4800円や5万1700円など。

松崎議員はこの日、出席した2時間のうち、確認できただけで1時間40分もナイキのスニーカーを物色していた。

まさか大切な議会でネットショッピングをしているのか?本会議3日目も松崎議員を観察した。

開会から4分後…

ディレクター:
今日も検索?

やはりまたスニーカーを探しているようで、今度は5万500円のスニーカーを見ている。

ディレクター:
説明文をかなり熱心に見てる

35分後…

ディレクター:
パソコンで疲れたか?

目が疲れたようで、ぎゅっと目を閉じる場面も。

そしてその10分後、動かなくなった。

ディレクター:
寝ちゃった?

その後も、またネットサーフィン。松崎議員は、この日も議会に出席している1時間5分のうち1時間と、ほとんどの時間をスニーカーの検索に費やしていた。

ネットショッピング議員を直撃 サイトを見ていた目的は?

神奈川県民にこの映像を見てもらうと…

女性:
腹立たしいですよね、普通に。税金ですからね

男性:
チラ見ぐらいはしょうがないよ。ずっと見ているのはダメ

コロナで県民が厳しい生活を強いられる中、議会中になぜスニーカーを探していたのだろうか?松崎議員の自宅前で直撃した。

ディレクター:
すみません

松崎議員:
朝からお見かけしているんですけど、何か御用ですか?

ディレクター:
フジテレビの矢古宇と申しますが

松崎議員:
え?はい…ニュース?何、どうしたの?

ディレクター:
これ見えますか。松崎議員の席だと思うんですけども…これ初日です

松崎議員:
はい

ディレクター:
このとき何をパソコンで見ていたのでしょうか?

松崎議員:
え~っと…あっ、このときのはあの、あれですね。え~と多分、インターネットサイトのいろんなこう…何て言うんでしょう、物を販売しているところのサイトを見ていました

ディレクター:
なぜ見ていたのですか?

松崎議員:
いや、ただ閲覧するだけで見ていました
 

熱心に見ていたスニーカーについて聞くと…

松崎議員:
これはえ~と、靴です

ディレクター:
議会中に靴を見ているんですか?

松崎議員:
あの~このときはそれを見ていましたが、う~…まあそうですね。そのときは、それ(靴)を見ていました。

ディレクター:
目的は何だったんですか?

松崎議員:
自分としては、いろんなサイトを見てみたいというのはいつもあって。あるいはまた、自分がこれから何か取り上げていきたいこと、特に健康作りとか。健康的に暮らせる形に戻していくために、やっぱりコロナっていうのを何とかしなければいけないわけです。自分としては、調査をしているという状況であります

松崎議員は、スニーカーを見ていた理由について「コロナ禍での健康作りのための調査」だと釈明した。

東京でも…13人が一斉に居眠り?

こうした信じがたい行為は、東京・杉並区議会でも見られ、北明範議員は議会中にLINEでスタンプを選んでいた。

そして、東京・港区議会ではまさか!港区議34人のうち、実に13人もの議員が議会中、静かに目を閉じていた。

地方議員の仕事を調べてみると、居眠り、読書、ネットショッピングをしている議員がいたことがわかった。

カメラを設置して議員の勤務評定をしたほうがいい

加藤綾子キャスター:
居眠りやネットショッピングをするなんてと思いますが、一方でもう少し議会に積極的にかかわれる仕組みづくりも必要なのではないかと思います。出席したらそこで終わり、というのが影響しているのではないかと…

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
確かにそれもあるでしょうね。ですが、ひとことで言うと、呆れ返って言葉がないというのが正直なところ。喝ですよ、本当に。住民の信託を受けて議場に行っているのにこの様です。モニターカメラを設置して、議員の勤務評定をしたほうがいいと思います

榎並大二郎キャスター:
頑張っている議員もたくさんいて、このような議員は一部であると思いたいですが、複数の議会で散見されたということで、残念な実態が見えてきました

(「イット!」9月28日放送分より)