その涙が全てを物語っていた。J1横浜Fマリノスに移籍するJ2いわきFCのエース・谷村。最後の戦いに臨んだ。
◇明治安田J2リーグ第22節・7月5日NACK5スタジアム大宮◇
<いわきFC 2-1 RB大宮アルディージャ>
いわきFCの背番号「10」、エース・谷村海那(たにむらかいな)。「岩手県出身として、自分も震災を経験したので、被災者の方々の気持ちを忘れずに全力でプレーします」2020年、当時JFLだったいわきFCに大卒ルーキーとして加入した。
メキメキと実力を伸ばし、ルーキーはいつしか、いわきのエースへ。昨シーズンはリーグ2位の18ゴールを挙げ、その実力は他のクラブチームも欲する存在に。そして…谷村はいわきを離れる決断をした。移籍先はJ1横浜Fマリノス。
仲間とともに臨む、最後の相手はRB大宮アルディージャ。序盤に先制されたいわきは、谷村がPKを獲得しチャンスを作る。しかし、ものにすることができない。
いわきは後半4分、コーナーから堂鼻(どうはな)!同点に追いつくと…クロスに合わせて谷村!これはバーにはじかれる。
一進一退の攻防の中、最後に決めたのが石渡(いしわたり)!豪快な一発で逆転!いわきはそのままリードを守り抜き、谷村最後の試合を勝利で飾った。
試合終了後、サポーターが掲げた背番号10。その光景にエースの目には涙が溢れていた。
いわきFC・田村雄三監督は「(谷村選手は)6年間このエンブレムを背負ってすごく努力してくれた選手だったので、次の舞台で彼らしくプレーしてほしいって思っていますし、これからも谷村海那っていう選手を皆さんが応援してほしいなって言う風に思っています」と語った。
いわきに愛された谷村。新天地での活躍に期待だ。
いわきFC、勝ち点3を掴んだものの、順位は14位のまま。次節は、7月12日ホームで長崎と対戦する。