東京電力は、福島第一原子力発電所6号機に貯蔵されていた核燃料のうち、米国で製造された未使用の燃料56体を2025年度下期から米国工場に搬出する計画を公表した。2011年の事故後、未使用の燃料も含めて、核燃料が福島第一原発の敷地外に搬出されるのは初めて。2026年度までに56体の搬出を完了する計画としている。

東京電力によると、56体の未使用燃料は米ワシントン州の工場に輸送する計画で、輸送後は、燃料を解体・精製し、ウランを回収するという。

国と東京電力は福島第一原発の廃炉の完了を2051年と掲げていて、原子炉建屋に残る核燃料を安定して管理することは廃炉に向けた大きな課題となっている。東京電力は2031年内までに、すべての原子炉建屋の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す計画。

6号機の原子炉建屋には1,884体(使用済み1,456体、未使用428体)の核燃料が保管されていたが、使用済み核燃料は2025年4月までに原子炉建屋の使用済み燃料プールから取り出され「共用プール」への移送が完了している。順次、未使用燃料の取り出し作業を実施する計画。

核燃料の取り出しをめぐっては、7月1日現在、1・2・5・6号機の原子炉建屋に核燃料が残されている。2011年の事故で水素爆発を起こし原子炉建屋上部が大きく破損している1号機では、取り出しの際に放射性物質が飛散しないよう建屋を覆う大型カバーの設置工事が進められているが、部品を吊り上げるクレーンの不具合が発生。これらを踏まえ、東京電力は7月3日にカバーの設置が最大で半年遅れの「2025年度内」になると計画を修正した。
一方で1号機について「原子炉建屋からの核燃料の取り出し開始時期を2027~2028年度とする計画に変わりはない」としている。


2025年7月1日現在の核燃料の貯蔵状況は以下のとおり。
■1号機:392体(使用済み292体、未使用100体)の原子炉建屋からの取り出しを2027~2028年度に開始予定
■2号機:615体(使用済み587体、未使用28体)の原子炉建屋からの取り出しを2026年度までに開始予定
■3号機:566体を原子炉建屋からの取り出し済み
■4号機:1,535体を原子炉建屋からの取り出し済み
■5号機:1,542体(使用済み1,456体、未使用428体)について、2025年7月より原子炉建屋からの取り出しを開始予定
■6号機:1,884体(使用済み1,456体、未使用428体)のうち、使用済み燃料は原子炉建屋から取り出し済み。

福島テレビ
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