7月9日に開幕する夏の高校野球岩手県大会の注目校・春の東北大会ベスト8の久慈。
チームワークを武器に、46年ぶりとなる夏の頂点を目指します。
久慈高校硬式野球部は、46年ぶり2度目の甲子園を目指しています。
2024年秋の県大会では3位、2025年の春の県大会では準優勝すると、その後の東北大会で山形第2代表の山形中央を破りベスト8まで上り詰めました。
東北の強豪と肩を並べる今のチームについて、宇部智也キャプテン(3年)は「長打のあるバッターもそろっているし、打撃面は本当に文句なしだと思う。守備も崩れることがないし、どちらもバランスがいいと思う」と話します。
勢いに乗るチームで打線の中心を担うのが和野虎牙選手(3年)。1年生から久慈の不動の4番で、高校通算で11本のホームランを放っています。
自他ともに認める勝負強さも持ち味で、春の東北大会2回戦の聖光学院戦では4番らしい豪快なスイングで2打点を挙げる活躍を見せました。
久慈 和野虎牙選手(3年)
「最後の夏というのは、今までの夏とかける思いが違う。目標は甲子園出場、個人としてはホームラン3本くらい打ちたい」
そして、久慈の投手陣をけん引するのが左右のエースです。
まずは左のエースの宇部奨人投手(3年)。
制球力が自慢の宇部投手は、強気でインコースを攻め相手バッターを詰まらせアウトを取るピッチングが持ち味です。
一方、右のエースは山田千叶良投手(3年)。
山田投手もコントロールには自信があり、長打になりづらい低めのストライクゾーンにボールを集めて凡打の山を築きます。
ともに130キロ台中盤のキレのあるストレートに加え、スライダーやチェンジアップなど3種類の変化球を操るタイプの近い2人は、時には完投、そして時には継投して強豪校と渡り合ってきました。
久慈 宇部奨人投手(3年)
「ストレートも変化球もどちらもインコースで勝負できるよう調整したい。(県大会)決勝で勝って、甲子園に行けるよう頑張りたい」
久慈 山田千叶良投手(3年)
「低めに集めることを常に意識しながら、チームの軸となれるような投手になっていきたい」
そして今の久慈を県トップクラスのチームに押し上げた要因のひとつが「チームワーク」です。
互いの強みや弱みを知っているため、実戦でも練習でもチームメイト同士で状況に応じた的確なアドバイスをし合えることが強みになっています。
それもそのはず、実は久慈の3年生には中学時代「久慈DREAMS」というチームに所属し、全国大会で準優勝を果たしたメンバーが15人そろっています。
地元の高校で甲子園を目指すため、誘い合って入学したといいます。
つらいランニングメニューも、仲間と声をかけながら明るく練習に取り組むことで、身になる楽しい練習に変わっていました。
久慈 和野虎牙選手(3年)
「中学校から顔見知りというのもある。あとは先輩の自分たちが優しいから」
久慈 宇部奨人投手(3年)
「みんながいるので頑張れる。特に(山田)千叶良くんがいるので」
2025年1月に行われた春のセンバツ甲子園21世紀枠候補の選考委員会で、久慈は候補に名を連ねながらも選出されず、悔しさをにじませました。
久慈 宇部智也主将(1月当時)※2年
「少し悔しい思いもあるけど、春から自分たちの実力で勝てるよう、まだ夏のチャンスは残っているので、体づくりからチーム全員で見直してやっていきたい」
この言葉通り、久慈は夏に全国の強豪と互角に渡り合うため、ウェイトトレーニングなど体づくりにより本格的に取り組み、この結果パワーもスピードも飛躍的に伸ばすことができたといいます。
久慈 宇部智也主将(3年)
「久慈高校に入った理由の一つが“甲子園に行きたい”ということ。地域の皆さんに応援してもらっているので、保護者にもしっかり甲子園で恩返しできるようにしていきたい。目標は甲子園優勝です」
着実に力を付け、全国の舞台がさらにはっきりと見えるようになった久慈は、県内の公立高校としては31年ぶりの夏の甲子園を目指し、闘志を燃やしています。