6月21日から地震が相次いでいるトカラ列島近海で、2日は未明と午後に震度5弱の地震が相次ぎました。
未明の時間は悪石島で、そして午後の震度5弱は悪石島の南にある小宝島で発生し、震源域がこれまでよりも南西に移っているということです。
2日午前4時32分ごろ、トカラ列島近海を震源とする地震があり、十島村の悪石島で震度5弱を観測しました。この地震による津波はありませんでした。
一連の地震で悪石島では30日以来となる震度5弱の地震。
住民も不安を口にしました。
悪石島在住・有川和則さん
「最初下からドーンと突き上げる。そして横揺れ。みんな不安がっている。いつ起こる地震か分からないので」
こちらは6月21日からの地震回数の推移です。
1日も130回を超えるなど群発地震は続き、2日は午後5時までに100回発生しています。
地震発生から12日目となる2日、十島村の各島で観測される震度には変化がありました。
午後3時26分ごろ、2日、2度目となる震度5弱を観測したのは悪石島の南にある小宝島でした。
これまでは悪石島で最大震度を観測することが多かったですが、2日だけの震度3以上の地震の回数をみると、午後5時までの時点で悪石島よりも小宝島で増えているのが分かります。
そしてこちらは6月21日から続く群発地震の震源域を表したものです。
赤い点が1日までの震源域ですが、2日になって小宝島に近い南西側に震源域が移っているのが分かります。
これについて鹿児島大学の専門家はー
鹿児島大学 南西島弧地震火山観測所・八木原寛准教授
「これまでの群発地震活動でも少し広い領域で活動しているのは、これまでの活動でも見られてきた。少し地震活動の場所が南西側というか西側の方に広がってきている可能性がある。地殻流体(地殻にある水など)の移動に伴い時間とともに変わる」
さらに専門家はこれまでの群発地震の推移について、2つの山があると話します。
八木原寛准教授
「少し活動が落ちてきて数が少なくなったのが27日、28日ごろ。29日からは次の活動が始まった可能性がある。現在活動中の場合にいつがピークなのか、これからピークを迎えるのか。すでにピークを過ぎたのかという判断が非常に難しい」
最後に今後注意すべきことを聞きました。
八木原寛准教授
「震源が近いから緊急地震速報は間に合わない。物の固定がまず大事。小宝島と宝島については大きく崩れそうな所は悪石島より少ない。もし島内で落石や崖崩れ、土砂崩れをしそうなところがあればなるべく近づかない、滞在時間を短くすることが大事」
十島村役場によりますと、いずれの震度5弱の地震でも、2つの島の住民全員の安全が確認されたということです。
また、十島村役場は4日から6日に開催予定のトカラ列島 島めぐり体験ツアーの中止を発表しました。
地震の影響で「参加者の安全確保が困難」と判断したとしています。