南海トラフ巨大地震について政府は2025年7月1日、新たな防災対策の基本計画を決定しました。時として、厳しい環境にあった被災地の避難所の環境が、大きく改善されることになりそうです。

 政府は7月1日、今後30年以内に80%程度の確率で起きるとされる「南海トラフ巨大地震」の防災計画を発表しました。

 2025年3月に公表された被害想定では、最大でおよそ29万8000人が死亡すると試算。政府は、新たな被害想定を踏まえた防災計画で、死者数を今後10年間でおおむね8割減らすこと、235万棟にのぼるとされる全壊・全焼建物数をおおむね5割減らす「減災目標」を掲げました。

 そのため、特に重点的に推進する対策は2つです。1つ目が、直接死を防ぐ『命を守る』対策です。

 火災の危険性が高い木造家屋密集地域を中心に「感震ブレーカー」が100%普及することで、火災の焼失をおよそ35万棟に半分以上減らせるとしています。感震ブレーカーは、地震の揺れを感知すると、自動的にブレーカーを落とし電気を遮断します。

 重点対策の2つ目、災害関連死を減らすための『命をつなぐ対策』では、水・居住空間・トイレなどの国際基準「スフィア基準」を満たすことを掲げています。

 三重県志摩市は、南海トラフ巨大地震で最大の震度が7、最大で26メートルの津波が予想されています。市内にある避難所では、市や自治会が用意した備蓄用食料のほか、2024年からエアコンなどが新たに取り付けられ、災害に備えていました。

志摩市防災危機管理課の橋本幸久課長:
「阿児町国府地区の防災倉庫になります。防災備蓄庫として利用しているのと、避難訓練等で避難所の運営訓練をこちらでしています」

 また、能登半島地震でのトイレ不足を受け、クラウドファンディングなどで県内初の「トイレトラック」を導入しました。暖房便座付きの水洗トイレが5つあります。

橋本課長:
「水洗トイレで温水の洗浄ができます。LEDライトがついていますので、夜間でもトイレができるようになっております。快適な空間にするために換気扇もついております」

 中には、車いすの人でも利用できるほか、おむつの交換台も設置された多機能トイレも。停電や断水時でも使用できるよう、屋根にはソーラーパネルが備え付けられ、夜間でも安心して利用できます。

橋本課長:
「志摩市は県内でも南海トラフ地震の被害が最大であると考えております。トイレ環境は災害時におきまして住民の切実な問題だと判断していますので、家と同じような環境でトイレを利用できれば、避難生活も快適に過ごせると考えております」

 避難所の改善で命を守るとともに、命をつなぐ。巨大地震の減災への取り組みが始まります。

東海テレビ
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