「予約したのに泊まれる部屋がない!?」
宿泊予約サイト「アゴダ」をめぐってトラブルが今相次いでいます。
取材を進めると予約サイトに潜む、ある“からくり”が…。トラブルが生じる背景を取材しました。
■夏休みの人気旅行先ランキング 今年はプチリッチな旅行
26日、JTBが夏休みの全国人気旅行先ランキングを発表。
1位は「沖縄」、2位は「北海道」、そして栄えある3位は「関西」という結果に!
大阪・関西万博の開催もあって、人気が高まっているようです。
ことしの夏休みのトレンドについて専門家は…。
【航空・旅行アナリスト鳥海高太朗さん】「GWが節約型思考の旅でしたが、夏休みについては少しお金を足してプチリッチな気持ちで旅行に出る。沖縄に関しては、7月25日に“ジャングリア沖縄”が開業。それも含めて遠くに出かける人が増えるのではないかなと思われます」
しかし、いま多発しているのが…オンライン宿泊予約サイト「アゴダ」をめぐるトラブルです。
■宿泊予約トラブルに巻き込まれ…旅行2日前に勝手にキャンセル
大手ホテルチェーン・東横インではこんな注意喚起が...
【注意喚起】一部の海外予約サイト(Agoda等)ご利用時の注意事項
・お客さまがご予約した情報がホテルに通知されず、お部屋の確保がされていない。
・お客さまの予約されたお部屋や日付とは異なった情報がホテルへ通知され、正しい部屋タイプや日程のお部屋が確保されない。
・お客さまの予約完了からホテルへの予約通知に数日のタイムラグがあるため、ホテルでご予約の確認ができない。
・ホテルで設定した宿泊料金よりも大幅に高い料金で販売されていることがある。
・キャンセル不可で販売されることがある。
なんと、「予約した部屋が確保されていない」「異なる部屋に案内された」といった問題が起きているというのです。
実際にトラブルに巻き込まれた人は…。
【トラブルに巻き込まれたAさん】「名義を変えたくて宿泊者の。ホテルに問い合わせしたら、『予約自体が取れていない』と言われて。予約確定のメールが来ていたので、『そんなはずない』って言ったら、『いや取れてないです』って言われて」
Aさんは宿泊の2カ月前に予約ができていないことを知り、アゴダのカスタマーサポートセンターに問い合わせました。
予約日の2日前にようやく「予約の確認番号を知らせる」と連絡がありましたが、やりとりを終えたわずか15分後…。
【トラブルに巻き込まれたAさん】「(部屋が)取れたと思っていたのに、2日前に勝手にキャンセルされて、え?って感じで…」
結局、別のホテルに泊まったそうです。
■異国の地で突然の予約トラブル
さらに取材を進めるとこんな人も…
【トラブルに巻き込まれたBさん】「友人の結婚式があって、ベトナムのハノイに旅行を兼ねて訪問した時に、チェックインしようとフロントに行くと、『あなたの予約はないです』って言われて、もともと私が押さえてた部屋には、『今別の人がいるからそこには泊まれない』と」
異国の地で突然の予約トラブル。何とか別の部屋を案内してもらったといいますが、なぜこんな事態になったのかアゴダから説明は一切ありませんでした。
■アゴダに問い合わせた結果
一連のトラブルについて関西テレビがアゴダに問い合わせると、「大多数のお客様には、スムーズで快適なご利用体験をしていただいております」「万が一、まれにトラブルが発生した場合でも、カスタマーサポートチームが迅速かつ的確に対応し、問題解決に努めてております」と、回答しています。
こうしたトラブルにホテル側も対応に追われています。
【アパホテル&リゾート大阪梅田駅タワー 若宮昌志総支配人】「直近で(トラブルが)増えてきたのかなと認識しています。お客様の予約内容をしっかり確認させていただいて、ひも付けのミス、(部屋に)空きがあればご用意させていただきます」
ことし3月には、観光庁がアゴダの日本法人に、業務改善を要請する事態に。
なぜ、問題が起きるのか?
取材を進めると予約サイトには、ある”からくり”が存在することが明らかに…。
■トラブルめぐる背景には空室の転売
奈良県橿原市のゲストハウスはじまり。
こちらでもアゴダをめぐるトラブルはあるようで、ウェブ上ではアゴダで予約できるプランが表示されていますが…。
【ゲストハウスはじまり 山本麻人オーナー】「(アゴダに)こちらから掲載をお願いしたことはないんですけど、(掲載を)お願いしている海外サイトから転売をされている状況です。このサイトに登録すると、アゴダなどの1万7000を超える海外サイトに表示される場合があります」
契約していないアゴダになぜ掲載されるのか?仕組みはこうです。
国内の予約サイトの場合、客は宿泊施設が直接契約しているサイトから予約をします。
しかし、このゲストハウスが契約している海外予約サイトの場合、そのサイトが他の旅行会社などに空いている部屋を転売。すると、その会社が空いている部屋をアゴダに掲載するのです。
さらに、さまざまな業者に空いている部屋が転売されることもあるそうです。
(Q.サイトを介することでラグが発生する?)
【ゲストハウスはじまり 山本麻人オーナー】「発生しますね。それでメッセージが遅くなったり、空室と表示されているのに実際は埋まっていたり。ラグがあるからこそ、(トラブルが)起こるんじゃないかなと思います」
しかし、宿泊施設側には海外予約サイトを解約できない理由も…。
【ゲストハウスはじまり 山本麻人オーナー】「特にインバウンドの方が予約をするのは、ほぼ100%海外サイトからなので、海外サイトを解約するとなると、集客ができなくなる。泣く泣く海外サイトを契約しないといけない」
■安心できるサイトでの予約でトラブル対策を
こうした仕組みについて大阪市内のホテルからはこんな声も…。
【大阪市内のホテル担当者】「システムのタイムラグなどにより、満室なのにアゴダのサイト上では空室が掲載されていたり、全く関係のないホテルの部屋の写真が掲載されていたりしたことも過去にあった」
予約する側からは見えない予約システム。私たちは何に気を付けたらいいのでしょうか?
【航空・旅行アナリスト鳥海高太朗さん】「安心で予約することができる宿泊施設のホームページなどでの直接予約。日本の法律が及ぶ、日本の旅行会社や予約サイト。もし海外の予約サイトを使う場合も、日本でのサポート体制がしっかりしている会社を活用するのがいい」
■「海外の旅行予約サイトは日本の法律が及ばない」
相次ぐ予約トラブルの原因として、旅行アナリストの鳥海さんは、「契約審査が甘すぎる。アゴダ側の管理ができていない」と指摘します。アゴダ側は、「一部業者の再評価委を含めプロセスの厳格化を検討する」としています。
また、菊地幸夫弁護士は、「海外の旅行予約サイトは日本の法律が及ばない」と注意を呼びかけました。
【菊地幸夫弁護士】「国内の会社であれば、観光庁の登録が必要で、官公庁はそれに基づいて業務改善命令ができるんですけど、海外のサイトは日本の法律が及ばない。トラブルが起きた際に対応がとても難しい」
■海外事業者の旅行予約サイトの注意点
海外事業者の旅行予約サイトの注意点です。
・事業者情報の確認(旅行業法上の登録がないことも)
・契約内容・キャンセル条件の確認(申込内容はスクリーンショットで保存を)
・対応窓口を確認(対応言語が日本語でないことも)
・不安な時は、消費者ホットライン「188」を相談
・ホテルに確認の電話やメールで予約は取れてるかどうか、事前にチェック
(関西テレビ「newsランナー」 2025年6月26日放送)