戦前に完成した北海道室蘭市の市役所の建築工事に新潟県佐渡市の左官職人が参加していたことが1枚の写真から分かりました。職人の孫である男性によって発見された写真は室蘭市にとっても貴重な資料でした。
佐渡市に住む齊藤文敬さん。去年、自宅で見つけた古いトランクから1枚の写真が見つかりました。
【齊藤文敬さん】
「“室蘭市役所 昭和6年8月完成”と書いてあって、ふと中を見ていたら、亡くなった祖父“齊藤弁治”の名前があった」
昭和6年…1931年に完成した北海道・室蘭市役所。写真から左官職人だった祖父が佐渡から北海道に渡り、その建築工事に携わっていたことが明らかに。
【齊藤文敬さん】
「祖父はそんなところまで行って作品をつくってくれていたんだな、仕事していたんだなと感心した」
祖父の人生の一端に触れた齊藤さんは次の行動に出ます。
【齊藤文敬さん】
「AIでカラー化するとこうなる。当時はやりのレンガ色だと思う」
カラーにしたことで室蘭市役所はより鮮明に。当時の人々も生き生きと浮かび上がりました。齊藤さんはさらに…
【齊藤文敬さん】
「室蘭というところをあまり知らなかったので、HPで室蘭市役所を調べた」
そこで見つけたのが室蘭市にまつわる、昔なつかしい写真を募集するページでした。ここに写真を送付すると、室蘭市からは…
【室蘭市】
「送付いただいた写真は当時を知るうえで貴重な資料である」
市役所は完成から10年で、火災で焼失してしまっていて、写真は当時の様子を今に伝える貴重な資料になったと市長から礼状が届きました。
佐渡市の渡辺市長も佐渡と室蘭をつなぐ写真の発見を歓迎します。
【佐渡市 渡辺竜五 市長】
「北前船以降のつながりから、多くの佐渡の人が北海道に働きに行っていたりとか、佐渡の人がそこで活躍していたというのは歴史的なご縁を感じる」
齊藤さんには、この経験から伝えたい思いがあります。
【齊藤文敬さん】
「今回、私が見つけたような写真、色んな資料が捨てられてしまうと二度と戻らない。そうならないうちに、佐渡の資料を集めてもらいたい。(Q.おじいさんはどう思っていると思う?)無口な人だったから、多分笑ってニコニコしているだけでコメントは出ないと思う」
左官の仕事に生きた祖父の活躍は94年の時を経て、佐渡と室蘭を再びつないでいます。