耳で楽しんでいた音楽を身にまとい、手で触れるようにする生成AIを活用した新体験とは。
ストライプ柄が特徴のニットプルオーバー。
洋服を着た人物がカメラの前に近づくと、“ある楽曲”が流れ始めました。
ベートーベンの名曲「運命」です。
実はこの洋服、ベートーベンの楽曲を元に生成AIが生み出したもの!
目指したのは、“音楽をまとう新たな体験”。
音階やリズムをデザインに変える「次世代型システム」とは。
2024年に創業したばかりのアーティスト集団「knoctave」。
代表の安藤コウさんは「サウンドロゴ」と呼ばれる、企業やブランドのイメージを生活音・楽曲などを活用し、音で表現。
聴覚的な情報から、消費者の記憶に残るブランディング手法を手掛けてきました。
そんな中、「新たな形のクリエイティブを追求したい」と“業界でも珍しいシステム”を開発しました。
「knoctave」代表・安藤コウさん:
音楽を見るとか、聴くとかはあるけど、音楽を触るというのは今までなかった。
それが音階やリズムを、デザインに変える生成AIシステム「ストライプトラック」です。
使用したい音楽をシステムに取り込むと、生成AIがメロディーやコンセプトなどを解析。
曲のイメージにあったデザインを作成し、ファンションアイテムや日用品などに昇華することができます。
クリエイターにとって作業の効率化や創造性の拡張につながると同時に、企業や商品をブランディングする際に優れたアイデアを生み出してくれると言います。
安藤さんは「いわゆる音楽にまつわる情報。何でその音楽が生まれたか、楽曲のコンセプトであったり、どういう時代に生まれたのかをAIに学習させるということをやって、クオリティーの高いものを再現していくという意味では、AIってすごいレベルが高い」と話します。
今回、プロジェクトの第1弾としてベートーベンの「運命」や「歓喜の歌」を活用し、音楽を元にした洋服を制作。
具体的な制作工程をのぞいてみると…。
「knoctave」代表・安藤コウさん:
ドが何個あってレが何個あって、という数をはじき出すというのを一番最初にやっている。
まず、楽曲に含まれるメロディーやハーモニーのデータを解析。
どの音が一番多く使われているのかや、リズムの特徴などを可視化していきます。
さらに楽曲のコンセプト・制作背景を生成AIが学習し、曲にまつわるイラストも複数作成。
安藤さんは「絵の中で使われている色と、音の数の多さという部分が照合できると。そうするとドが何色で、レが何色で、ミが何色という部分が決められてくる」といいます。
イラスト内での色の使用頻度と、音階の使用割合を算出し、それぞれをペアリングすることで楽曲全体を模様としてデザイン化しているのです。
また、商品を生み出すだけではなく“音楽をまとう新たな体験”も可能。
ベートーベンの曲から生まれた、様々な洋服。
洋服を着て、システムの前に立つと、その元になった楽曲が流れるようになっています。
「knoctave」代表・安藤コウさん:
この生成システムを使って、色んな企業さんとか、色んなアーティストさんとかコラボして。彼らが作りたいプロダクトというところを、僕らは寄り添ってできるといいかなと。