岩手県と秋田県をへだてる奥羽山脈。岩手県雫石町の西、秋田県との境にあるのは標高992mの「貝吹岳」だ。
江戸時代から盛岡藩と秋田藩を結ぶ街道があり、この山を越える峠は難所だった。
雫石町の国見温泉登山口から歩き始めて30分ほど登ると「貝吹岳」がよく見える見晴らしの良い「笹森山」に着いた。
さらに進んでいくと「従是北東盛岡領」と彫られた石の柱がある。
江戸時代から1875年まで岩手県と秋田県を結んでいた秋田街道の国見峠は、藩の境界争いが起きていたことから、領地を示す石柱「従是北東盛岡領」が作られたという。
県境となっている古い街道を歩いていくと山を彩る高山植物が迎えてくれる。
歩き始めて1時間ほどで舗装道路に出る。そばにある沼「ヒヤ潟」があり、ここでひと休みする。
晴れて暑くなったり雨が降ったりと天気が不安定なこの時期に、あると便利なのが折りたたみ傘だ。そこで、登山に最適な折りたたみ傘の選び方について専門店で教えてもらった。
石井スポーツ盛岡店 五十嵐晃貴さん
「晴れの日は日傘として、雨の日は雨傘として使える軽い傘が便利」
ポイント1:日差し対策
山の上は紫外線が強いので、UVカット機能が付いているものがおすすめ。生地の裏面にコーティングがしてあり、光や熱をさえぎるので夏の登山に最適。
ポイント2:軽さ
5本骨は軽く、山や街でも持ち歩きに便利。
ここからは1876年に拓かれた街道を進む。岩手県と秋田県で人々の交流がますます盛んになり、馬車や人力車が通れるように作られた平らで歩きやすい道だ。
30分ほど歩くと仙岩峠に着くが、ここにも「従是西南秋田領」という石柱がある。
国見峠にあったものと同じく盛岡藩と秋田藩の境界で、この真下には岩手県と秋田県をつなぐ仙岩トンネルが通っている。
登り始めて約2時間半で貝吹岳山頂(992m)に到着。
「貝吹岳」という名前は、山頂でほら貝を吹いてふもとに情報を伝えたからと言われている。
「貝吹岳」に登ってみたら、そこには岩手県と秋田県を結ぶ歴史の道と大パノラマがあった。
山頂でのお楽しみは、ふもとの「道の駅雫石あねっこ」の「特製みそ焼きおにぎり」。雫石産のひとめぼれと味噌を使い香ばしく焼き上げた大きなおにぎりだ。
帰りはヒヤ潟まで戻って、仙岩トンネルが完成する1977年まで使われていた旧国道46号線を下る。
下山後は登山口がある「国見温泉森山荘」で山旅の疲れを癒す。全国的にも珍しいエメラルドグリーンのお湯が特徴で、露天風呂からは「貝吹岳」を眺めることができる自然に囲まれた昔ながらの湯治宿だ。