おととし11月、熊本市東区の自宅で妻に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死の罪に問われていた男の裁判員裁判で判決です。
熊本地裁は24日、被告側の無罪主張を退け、男に懲役9年の判決を言い渡しました。
判決を受けたのは熊本市東区小山に住む会社員、福永 輝樹 被告(53)です。
判決などによりますと、福永被告はおととし11月、自宅で妻の沙矢香さん(40)に何らかの暴行を加えて背中や脚に打撲などを負わせ、出血性ショックにより死亡させたものです。
被告側は「妻は精神的に不安定で自傷行為または事故によってけがをした」と初公判から一貫して無罪を主張。
妻のけがが福永被告の〈暴行によるものかどうか〉が裁判の争点となっていました。
24日の判決で熊本地裁の中田 幹人 裁判長は「妻のけがは複数かつ広範囲に及ぶことから自傷行為や事故ではなく、福永被告の暴行が原因」と認定。福永被告の「妻が小さなイスで自分の両脚を殴っていた」とする供述についても「その様子を目撃していたのに警察に説明していないのは不自然で信用できない」としました。
その上で、「暴行の詳細は明らかではないが、妻が反撃した形跡はうかがえず、何度も一方的に暴行を加えていて相当悪質な犯行」として懲役9年を言い渡しました。
判決を受け、妻・沙矢香さんの父親は「当然の判決が出た。9年経とうが10年経とうが、娘は帰ってこない」とコメント。弟も「反省が見えず、許す気持ちは一切ない」と話しました。
一方、福永被告の弁護人は控訴について「被告と話して決める」としました。