今や家族同然の存在ともいえる犬や猫。
そのペットをめぐる感染症で死者が出る事態となっています。

真夏のようだった先週と比べ、少し暑さが落ち着いた24日。
公園には多くの人がペットの散歩に訪れていました。

ペットの散歩に訪れた人は「(犬を)11年飼っている。今の時期は犬にとってちょうどいい。暑いとだめなので、曇りくらいの方が。毛皮着ているような犬だから」「(名前は)ユキチです、シーズーです。(犬が)子どもの頃からずっと飼っている。家族の一員で、子どもというか孫みたいな感じ」と話しました。

また、猫を飼っているという家族は「家族としてなくてはならない存在になっている」と話します。

しかし今、日本で最も飼っている人が多いといわれる猫が、ある感染症にかかり死ぬケースが増えています。

その原因は、公園や庭の草むらなど、ペットが日常的に出入りする場所に潜んでいるマダニです。

5月、茨城県でマダニを通じて感染する人獣共通感染症のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)にかかった飼い猫が確認されました。

茨城県によりますと、この猫は1歳のメス猫で、室内で飼われていましたが、屋外へ脱走後、耳に小さなダニが多数付着していたといいます。

その後、病院でダニを除去しましたが、数日後、高熱や食欲低下・嘔吐の症状が。
病院で治療を受けましたが、12日に死んでしまったということです。

室内飼いの猫にも迫る危険性。
ペットを飼っている人は、感染症にどのような対策をしているのでしょうか。

猫の飼い主:
なるべく窓を開放しないような感じ。開けても網戸にして出ないように。感染しないような感じで外に出ない。

犬の飼い主:
マダニの薬を月1回つけて。あとは家に帰ったあとブラシ。普段歩いている分には犬につくかも。人間にはなかなかつかないと思う。犬になるべくつけさせないように。

この感染症、人にも感染し得るウイルスで、その致死率は最大3割に上ります。

一体どのようなものなのでしょうか。獣医師に話を聞きました。

たんぽぽキャットクリニック・椿直哉院長:
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はマダニが媒介するウイルスの病気で、特に猫だと非常に死亡率が高く、60~70%と言われている。(症状は)発熱・消化器症状、下痢や嘔吐など。

茨城県で死んだ猫も同じような症状が出ていて、ペットの感染は関東で初めてとみられています。

さらに獣医師は、今の時期、特に注意が必要だと指摘します。

たんぽぽキャットクリニック・椿直哉院長:
特に春先から秋口。マダニが活発に動く時期は特に気をつける。(猫は)外に出ないが一番だが、ごくまれに、人間が靴とかにつけて自宅に持ち込むこともある。玄関先に猫が行かないようにするとか、そういう対策が家でも必要かなと思う。

「イット!」は神奈川県の保護猫施設を取材しました。

代表の石丸さんは、感染症に最大の注意を払っているといいます。

たんぽぽの里・石丸雅代代表:
最初に保護したら駆虫薬をつける。そのときに全身状態を見て、ダニがいるときはダニに効く薬を先生がチョイスするので、言われたものをつける。

また、犬が感染することも。
その発症数は猫に比べると低いものの注意が必要です。

一方、注意すべきは人も同じです。

三重県では、この感染症にかかった猫を治療していた獣医師の男性が呼吸困難などの症状を訴え、病院に運ばれましたが、数日後に亡くなりました。

検査の結果、獣医師はこのウイルスに感染していたことが分かりましたが、マダニにかまれた痕はなく、感染経路は分かっていません。

国立健康危機管理研究機構によると、2024年の感染報告は120例で、そのうち11人が死亡しています。

伊藤医師に話を聞くと、マダニにかまれるという被害は増加しているといいます。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
本来は地域柄、日本の気候からするとさほど多くなかったが、だんだん地球が暖まってきて、夏の20~30度ほどの期間が長くなってきた。これによってマダニの活動する期間が増えて、マダニにかまれて傷を負うという機会が増えている。

万が一、マダニにかまれた場合、どうすればいいのでしょうか。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
速やかに十分な経過観察・受診・適切な処置。診断がつけば早期治療が望まれると思います。それからマダニになるべく出会わない・かまれない、こういった対策も同時に必要になってくる。今はマダニのその対処方法やSFTSについて知らない医者は非常に少ない。まず診ていただくという意味では、最も近いお医者さんに飛び込むのもいいのではないか。

ペットだけでなく人にも感染する場合があるため、夏本番に向けても注意が必要です。