東京電力は6月24日、福島第一原子力発電所1号機で1週間あまりにわたり不具合が続いていた「大型カバー設置クレーン」について、不具合が解消し、クレーンの先を地上におろすことができたと公表した。一方で「2025年夏頃に完成」としていた大型カバーの設置工事については「工程を精査中」としている。

福島第一原子力発電所1号機の使用済み燃料プールには392体の核燃料が残されているが、2011年の事故で水素爆発を起こし、原子炉建屋上部が大きく破損していることから、取出しの際に放射性物質が飛散しないよう建屋を覆う大型カバーの設置工事が進められている。
これまでに側面カバー設置工事を進めていて、さらに側面と屋根カバーの間をつなぐ部品の設置工事を行っていたところ、2025年6月16日、この部品を持ち上げていたクレーンが停止。部品は既に設置されている側面カバーに固定され安定しているものの、クレーンの先の部分を地上におろすことができない状態が続き、次の作業に移ることができないでいた。

東京電力による調査の結果、クレーンのワイヤーを巻き下げる系統に異物を確認。部品の破片が詰まったことで、巻き下げに必要な油圧を確保できなかったことが不具合の原因とみられている。6月24日にはこの不具合を解消し、クレーンの先を地上におろす作業が午前中に完了したという。

東京電力は大型カバーの完成を「2025年夏頃」と見込んでいる。「今回の不具合だけでは工程への影響は軽微」としたものの「作業全体を含めて工程は精査中」としている。
その後の予定では2027~2028年度にプールの中の核燃料取出しを開始し、2031年内までに1号機を含むすべての建屋の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す計画となっている。

国と東京電力は福島第一原発の廃炉の完了を2051年と掲げていて、建屋に残る核燃料を安定して管理することは廃炉に向けた大きな課題となっている。

福島テレビ
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