高止まりが続くコメの価格、中長期を見据えたコメの政策を進めるために、見直しに向けた動きが強まっている。その“旗振り役”は6月に就任した大臣だ。

■米の作況指数廃止へ
「毎年のコメの出来・不出来を示す指標として、約70年前から毎年秋に実施してきたコメの作況指数の公表を廃止することにしました。今後は人工衛星や人工知能AIなどの最新の技術なども活用しながら、精度を向上させて農業政策の新たな基盤を確立していきたいと思っています」会見でこう述べた小泉農水大臣。

■作況指数と実態の乖離
小泉農水相が廃止の方針を示した“作況指数”とは、コメの作柄を表す指標として1956年から国が公表してきた。直近30年間の傾向から割り出した10アール当たりの平均収量を100として、その年の収量の比率を示したものだ。
具体的には、106以上が「良」、105~102が「やや良」、101~99が「平年並み」などとされている。(98~95が「やや不良」、94以下が「不良」)
2024年産について福島県内は「102」だったので、「やや良」とされた。しかし、「そんなに収穫出来ているの?」と生産者からは実態との“かい離”を指摘する声が根強くあった。

■小泉農水相と南相馬の生産者が意見交換
福島県南相馬市小高区のコメ農家・佐藤良一さん。
震災直後の2012年にコメの栽培を再開し、現在は当初の360倍144ヘクタールまで栽培面積を広げた。6月15日に小高区を訪れた小泉農林水産大臣と意見を交わした1人だ。
紅梅夢ファーム・佐藤良一代表取締役:「やはり今の農業政策、抜本的に変えるべきだろうと思っています」
小泉農林水産相:「皆さんの感覚からすると、そんな農水省が言うほど生産量ないよ、収穫量ないよというのが感覚なんですね?」

■作況指数廃止に農家は困惑
その翌日、小泉大臣は“作況指数”の廃止の方向性を示した。
紅梅夢ファームの佐藤さんは「小泉農相と対談の際は、作況指数の数字の公表の数値の見直しをすると言っておったわけでありますけども、まさかそれが廃止になるとは思ってなかったもんですから」と困惑も。

■“ふるい目”の違いが実態との乖離を生んだか
作況指数はこれまで作付の指標としての役割を果たしてたが、現場の実感とは“かい離”が指摘されていた。その要因の1つが、収穫されたコメを選別する“ふるい目”の違いだ。佐藤さんは「70年間も同じ網の物を使って、それを統計的にあげてきてたってこと自体が不思議なくらいです」と話す。
作況指数に使われるものと、生産者が使用するものとでは、ふるい目の大きさが異なるため、正確な収穫量の把握につながらなかった可能性が指摘されている。

■今後の精度向上に期待
国は今後、この“ふるい目”の見直しや人工知能・AIなどによる収穫量調査の精度向上を図っていく方針で、佐藤さんもその方向に期待している。
「今までと私らがやることは同じですので。より安心安全な農産物を消費者のみなさんにお届をしたいと、この気持ちは一切変わっておりません」と佐藤さんは話した。

■コメ価格は3週連続で下落も微減
気になるのがコメの価格。全国の平均価格は3週連続で下落しているが、前の年と比べるとまだ2倍近い水準だ。
県内にも徐々に広がってきた備蓄米の販売などによる一日でも早い価格の安定化が期待されている。

福島テレビ
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