FNNでは「戦後80年 いま、平和ですか」と題し、平和の現在地を探るキャンペーンを展開しています。
18日は建設中に10万人を超える犠牲者を出し“死の鉄道”と呼ばれた東南アジア・タイの「泰緬(タイメン)鉄道」です。
タイ西部のカンチャナブリを走っているのは、かつてタイとミャンマーを結んだ泰緬鉄道です。
第二次世界大戦中に当時の旧日本軍が物資の補給路として建設しました。
映画「戦場にかける橋」の舞台としても有名で、列車はいつも多くの外国人観光客でにぎわっています。
スペイン人観光客:
景色がとても魅力的で、すてき。
今は人気スポットとなったこの鉄道ですが、建設を巡ってはつらい記憶が。
旧日本軍が捕虜にした連合国軍の兵士などに過酷な労働を強要し、10万人以上が犠牲になったといわれ、「死の鉄道」とも呼ばれています。
鉄道のすぐそばにある建物は、戦争の悲惨さを後世に伝えるためにつくられたJEATH博物館です。
旧日本軍が使っていた蒸気機関車や当時の武器が今も展示されています。
40年近く続いていた博物館ですが、今、大きな問題が。
先代のオーナーから家族のジャンシリさんが経営を引き継いできましたが、コロナ禍で客が途絶え資金繰りが悪化したため、近く閉館することが決まったのです。
戦争博物館オーナー・ジャンシリさん:
ビジネスを続けるだけの観光客の確保が難しい。
しかし、観光客からは「閉館すべきではない。歴史を失ってはいけない」と閉館を惜しむ声が。
“戦争の悲惨さを後世に伝えたい”。
ジャンシリさんは考え抜いた末、展示物を別の場所に移して記憶をつないでいくことを決断しました。
戦争博物館オーナー・ジャンシリさん:
具体的にはどうするのか考え中ですが、若い世代の人にまだ残っている戦争の遺品を見てもらいたい。
記憶の風化と戦いながら後世に伝える活動は続きます。