豪雨に見舞われた立山町の白岩川ダムで緊急放流が行われ、下流に大きな被害が出てからまもなく2年です。
現地は土砂でまだ田植えができない水田も多い中、梅雨時を迎え、同じ被害を繰り返さないための取り組みが進められています。
2年前の2023年6月、1時間に88ミリの猛烈な雨が降った立山町。
白岩川上流の白岩川ダムにはピーク時、毎秒422トンという想定を大幅に上回る水が流入し、ダム完成から49年で初めて、緊急放流に踏み切りました。
白岩川は堤防が一部で決壊、浸水被害は住宅が床上・床下合わせて13棟、水田などの農地もおよそ22ヘクタールが水と土砂に覆われました。
*住民は
「大事に育てていたのに…」
「まるで津波を見ているようだった」
緊急放流から2年、地元にはまだ豪雨の爪痕が残ります。
*リポート
「こちらの堤防では、大雨から2年たった今も復旧工事が完了しておらず、大量の土嚢が積んであります」
決壊した堤防は4か所の工事が完了していません。
また、土砂が流れ込んだ農地はおよそ3ヘクタールで今年も田植えができず、農業機械の車輪が柔らかい土砂で沈んでしまい、作業ができない場所もあります。
*アナウンス
「これからダムの放流により川の水が増えます」
緊急放流で課題として浮かび上がったのは高齢化が進む住民に早く、安全に避難してもらうことです。
14日、白岩地区ではダムの緊急放流を想定した訓練が行われました。
*リポート
「災害で一時避難場所となる公民館です。サイレンの音を聞いて、住民たちが集まってきています。」
訓練はダムを管理する県と立山町、そして上市町が去年から合同で行っています。
「集落の方は白岩公民館へお集まりください」
今回は初めて、地区の住民およそ40人が参加、近所の人と声をかけあいながら、公民館に避難しました。
こうした訓練に加え、避難呼びかけに気付いて貰えるよう、見直したのは放流のサイレンです。
*県白岩川ダム管理事務所 谷嶋清重所長代理説明
「1、2回目は『ウー』が長いサイレン。3回目は『ウー、ウー、ウー』というようにちょっと(間隔が)短くなる。3回目の時には必ず逃げてほしい」
新しいサイレンは、緊急放流の1時間前そして、緊急放流開始時に鳴ります。
これまでのサイレンに比べて間隔が短く、より差し迫った危険が住民に伝わるよう変更されました。
*参加した住民は
「足が遅いから急には動けない。自分自身の体を守って、早く避難したいと思った」
「まだダムへの不安はある」
*県白岩川ダム管理事務所 谷嶋清重所長代理
「皆さんに『サイレンってこんな意味だったんだ』と分かってもらったのは良い収穫だった。実際、家の中の締め切った部屋で、雨が強い中だとどういった動きになるかなと」
梅雨時にさしかかり、県は今月20日から9月末まで白岩川ダムの水位をあらかじめ1メートル下げています。
また、今月21日からはダムの水位をリアルタイムで確認できるよう、白岩川ダムを含む7つのダムに設置されているカメラの画像を、ウェブサイトで公開します。
先週梅雨入りした北陸地方、水害を防ぐと同時に被害を繰り返さない取り組みが続いています
住民の方が「津波のようだった」と話したあの水害から2年。
水害は地震に比べ、天気予報などから備える事ができます。ちゅう躇なく、避難の決断をするためにも、情報に注意する事が必要です。