神沢川酒造場・望月正隆 社長:
醸造は終わってしまっているが、瓶に詰めたものを熱殺菌したりちょうどやっているところ
113年の歴史をもつ神沢川酒造場。
ここで造られているのが由比の銘酒「正雪」です。
ただ、いま酒造りに必要な酒米が足りていないといいます。
神沢川酒造場・望月正隆 社長:
今の段階で「ない」と言っているので、(農家が)植えていないってことなんですよ。そこが一番困るなと
背景の1つが酒米の生産量の減少です。
静岡県内では2023年から令和誉富士が作られていますが、2024年の作付面積は前の年より25%減少。
農家が酒米から高く売れる食用の米に転作する傾向があるためだといいます。
神沢川酒造場・望月正隆 社長:
酒米を減らして一般の飯米に切り替えることは仕方ないと思うが、私たちも(仕入れは)年に1回のことなので、減ってしまうと酒造りがなかなか思うように行えないことにもつながるので、非常にそこは困っている
価格も高騰しています。
誉富士の仕入れ価格は1俵(60kg)あたり2023年は1万5000円でしたが、2024年は2万円に。
2025年の秋には2万7000円にまで上がる見込みで、販売価格に転嫁せざるを得ないといいます。
神沢川酒造場・望月正隆 社長:
私たちのように中小企業で(酒を)たくさん作って価格を下げることができないメーカーにとってみると、今まで2000円台で買えていた純米酒が当たり前に3000円を超えてくる。3000円を超えないものは造れなくなってくる
福井県や長野県などでは酒米の値上がり分を補填する費用を6月の補正予算案に盛り込むなど、行政による支援の動きがでています。
しかし、県内では蔵元の関係者が県に助成を求めてきましたが、これまでのところ支援策は示されていません。
神沢川酒造場・望月正隆 社長:
静岡のお酒を世界中に広めていきたいと思うが、作るお米がないということになっているので、静岡の農業を守るというところも含めて県には引き続きお願いしていきたいと考えている
2024年にユネスコの無形文化遺産に登録された日本の伝統的酒造り。
令和の米騒動は世界が認めた伝統にも波紋を広げています。