長野県信濃町で6月12日、地元企業や農家が連携し甘味料や漢方の原料となる「甘茶」の苗の植え付けを行いました。農家の高齢化などで生産が激減する中、栽培を本格化して、特産品化を目指します。

1株ずつ手作業で植えられていく青々とした苗。「甘茶」の苗です。

12日、信濃町の山あいにある畑で、苗の植え付けが行われました。

アジサイの一種で、古くから甘味料や防腐剤、漢方の原料などとして使われてきた「甘茶」。4月8日の「花まつり」で、お釈迦様にかけるものとしても知られています。

毎年6月から7月頃に、アジサイに似た花をつけ、育った葉を収穫して乾燥や焙煎などをすると茶葉となります。

甘茶というだけにー

(記者リポート)
「とても甘いけど、砂糖は一切使っていない」

この甘茶が今、ピンチを迎えています。

黒姫和漢薬研究所 狩野土社長:
「当たり前だった存在がいつの間にか消えていっている。一番大きな理由は農家の高齢化です。同時にもう一つは株が古くなってきて夏の暑さなどに耐えられなくなった」

信濃町は、冷涼な気候と水はけのよい土壌が甘茶の栽培に適していて、かつては全国一の生産量を誇ったと言います。

しかし、近年は農家の高齢化などで生産が激減しています。

黒姫和漢薬研究所 狩野土社長:
「甘茶の甘さの不思議さは、作った1年目よりも、翌年、更にその翌年、熟成すればするほど甘さが増す」

信濃町を甘茶の産地として復活させたい。

そこで、薬草茶の製造・販売を手掛ける黒姫和漢薬研究所がプロジェクトを立ち上げました。

黒姫和漢薬研究所 狩野土社長:
「江戸時代から続いてきた伝統的な薬草をわれわれの時代で終わらせちゃいけない、そんなことでチャレンジしました」

12日は地元の農家やボランティアなど30人が参加し、約600株を植え付けました。

参加者:
「しっかり活着してくれたらいいかなって思います。根がしっかり根付いてくれて」
「たくさんできて、甘茶って今すごくマイナーなので、もっとメジャーになったらいいなって思う」

葉の収穫は2年後から。プロジェクトでは特産品化を図りつつ、全国の寺などへ提供して、「花まつり」の文化も守り続けたいとしています。

黒姫和漢薬研究所 狩野土社長:
「伝統文化をきちっと全国に発信できるようにと思っています。薬草栽培、甘茶栽培を通して、信濃町を全国に知ってもらう、世界の人に知ってもらってこの地に色々な人が来るきっかけづくりにしたい」

長野放送
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