去年10月、福岡県北九州市小倉南区で職場の上司をダンプカーでひき殺したとされる男の裁判員裁判。

福岡地裁小倉支部は12日、懲役23年の判決を言い渡しました。

12日午後、福岡地裁小倉支部で、殺人などの罪に問われている福岡県築上町の無職・高橋博行被告(62)の判決公判が開かれました。

◆三芳純平 裁判長
「高橋被告に判決を言い渡します。懲役23年に処する」

◆記者リポート(去年10月)
「事件があった現場です。大型ダンプカーは、タイヤだけでも捜査員の背丈をゆうに上回っています。かなりの大きさであることが分かります」

高橋被告は去年10月、北九州市小倉南区の採石場で勤務中、上司の山崎雄二さん(当時51)を重さ約72トン、タイヤの直径が2.7メートルもある大型ダンプカーでひき殺したほか、同僚の男性作業員や現場責任者の男性もひき殺そうとして逮捕され、殺人と殺人未遂の罪で起訴されました。

6月2日の初公判で起訴内容を認めた高橋被告。

検察側は冒頭陳述で、「同僚とトラブルになった後、上司(山崎さん)に“ダンプカーから降りる”よう言われ、退職させられると思い、激しい怒りを覚えて犯行に及んだ」「極めて巨大な大型ダンプトラックで突っ込み、1人をひいて殺害」「車両を切り返し、逃げた男性作業員らに目がけて突っ込んだ」と指摘しました。

一方、弁護側は「上司の口調の激しさや無視をパワハラと悩んでいた」「動機も突発的」などとして情状酌量を求めていました。

4日の被告人質問で高橋被告は-

◆高橋被告
「頭に血が上ってかっとなり、そのままアクセルを踏み込みました」
◆弁護側
「ダンプトラックにひかれてしまうと、どうなるか分かりますか?」
◆高橋被告
「死亡する可能性があります」
◆弁護側
「山崎さんの遺体は見ましたか?」
◆高橋被告
「はい。『大変なことをしてしまった』という気持ちがこみ上げてきました」

検察側は5日の論告求刑公判で、「人命を意に介さない強固な殺意があった」などとして高橋被告に懲役28年を求刑。

一方、弁護側は「被告が反省していて、計画性がなく、強固な殺意もなかった」などとして懲役13年が妥当だと主張しました。

そして、12日に行われた判決公判。

福岡地裁小倉支部の三芳純平裁判長は、「本件ダンプトラックは巨大で、これで人をひけば死亡させることは必至」「上司や同僚へ不満を有していたことと殺人行為に及ぶこととの間には飛躍があり、正当化する事情は見当たらず、非常に悪質」と断罪。

「事実関係を認め、謝罪の言葉を述べている点を考慮しても刑事責任は重大」として、高橋被告に懲役23年の判決を言い渡しました。

テレビ西日本
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