三菱重工長崎造船所で働き、肺の病気・じん肺などを患ったとして、下請け会社の元従業員や遺族が損害賠償を求めている裁判の控訴審で、福岡高裁は原告の請求を棄却しました。
この裁判は三菱重工長崎造船所で大量の粉じんが発生した不適切な労働環境で働きじん肺になったとして、下請け会社の元従業員3人とその遺族が三菱重工に合わせて1億560万円の損害賠償を求めたものです。
2023年7月、一審の長崎地裁は会社の安全配慮義務違反を認め、元従業員2人への賠償を命じたものの、1人は時効が成立したとして原告の訴えを一部棄却しました。
10日の判決で福岡高裁の高瀬順久裁判長は、元従業員3人について「X線画像とCT画像の所見を医学的見地から検討しても、じん肺に罹患したと認められない」などとして一審の判決を取り消し、原告全員の訴えを棄却しました。
三菱長崎造船じん肺アスベスト訴訟弁護団 横山巖 弁護団長
「最悪の判決。これ以上ひどいものはない。これ以上、被害者の人たちを踏みにじるような内容を書ける人がいるのかというぐらい」
遺族
「到底納得できない。悔しくてたまらない」
原告側は上告するかどうか検討するとしています。
一方、三菱重工は「当社の主張が全面的に認められたものと受け止めている」とコメントしています。