秋田県内有数の観光地・仙北市角館町の歴史ある建物がホテルに生まれ変わることになりました。昔ながらの蔵に宿泊する特別な体験を。滞在型観光の拠点として期待がかかります。
仙北市角館町の「西宮家」は、武家や地主として栄えた名家の住宅で、明治から大正にかけて建てられた母屋や蔵は現在、レストランや売店として一般に開放されています。
動き出したのは2020年。JR東日本秋田支社が仙北市や地元の観光協会と協力し、西宮家の3つの蔵を改装してホテル「和のゐ角館」を開業しました。
すると、宿泊客の4割が外国人観光客で埋まり、ミシュランガイドのホテルセレクションに県内で唯一掲載されている人気の宿泊施設になりました。
菅原咲子アナウンサー:
「明治から大正にかけての暮らしを感じながら宿泊できる場所がさらに増えることになった。現在は資料館として一般公開されている文庫蔵も客室に生まれ変わる」
今回、西宮家全体を「和のゐ角館」として営業することになり、9日、報道陣に概要が発表されました。
JR東日本秋田支社が建物を所有する仙北市から借り受けて客室に改装し、客室は現在の3部屋から6部屋となります。
西宮家で最も古い蔵とされる「文庫蔵」は、本棚や書物をイメージした客室にリニューアルします。
また、これまで売店として親しまれてきた「米蔵」は、宿泊客や一般の客も利用できるレストランに改装される予定です。
客室を倍増し「昔ながらの蔵に宿泊できる」という特別な体験を提供することで、滞在型観光の拠点となることが期待されます。
一方、西宮家は、2023年に年間で約2万9000人が訪れた人気の観光施設です。一部の市民からは、全体を宿泊施設にすることで「限られた人しか来られない場所になってしまうのではないか」との声も上がったということです。
仙北市・田口知明市長:
「レストランや物産をやっている人数と比較すると観光客は減るかもしれないが、より一層付加価値が高まると期待しているので、開業した際に状況を見ながら市としても取り組んでいきたい」
JR東日本秋田支社・井料青海支社長:
「『行きにくくなった、つまらなくなった』と言われないようにするのは当然。地域の人たちに相談し声をもらい、あの空間をどれだけ有効活用できるかを考えていきたい」
新たに加わる客室とレストランは、2026年春に開業する予定です。