淡路島リゾートホテルで活躍する65歳以上のシニア
日本は今、かつてない高齢化社会に突入している。その中で、「まだまだ働きたい」というシニアたちの姿が注目を集めている。慢性的な人手不足に悩む、リゾート地のホテルで働く「シニア」の働き方を取材した。
■シニア向けの「仕事説明会」に多くの参加者
超高齢社会において、65歳以上の高齢者が日本の人口の約3割を占める現状がある。
最近のデータでは、昨年生まれた赤ちゃんの数は70万人を下回り、人口減少が加速していることは明らかだ。
このような状況下で55歳以上を対象とした無料の「お仕事説明会」が開催されている。
【65歳参加者】「元気な自覚はありますね。お金も必要なので。将来に向けて、生活費を確保したい」
説明会には多くのシニアが集まり、年齢を重ねても働き続けたいという労働意欲と経済的な必要性が浮き彫りになった。
■シニアの新たな働き方「リゾートバイト」
淡路島のリゾートホテルでは、期間限定の住み込みの従業員として働く「リゾートバイト」が行われている。
彼らはベッドメイキングや清掃などを担当し、効率的に仕事をこなしている。
埼玉県に住む矢野良則さん(65)は、兵庫県淡路島のリゾートホテルで住み込みの「リゾートバイト」をしている。
ベットメイキングや掃除など1フロアにある90室を朝から午後3時までに仕上げるのが仕事だ。
バイトの”先輩”は25歳。
「シニアで大丈夫かなと最初は思ったが、いちばん良く働く」と目を丸める。
「リゾートバイト」を通じて新たな人間関係を築き、また自身の体力や知識を活かすことで、社会とのつながりを保ち続けることができるメリットもある。
■経済面でも様々なメリットが
高齢者の働きたい理由の一つに、年金だけでは生活が難しいという経済的背景がある。
彼らは、少しでも多くの収入を得ることで、生活の質を保ちたいと考えている。
矢野さんの時給は1200円。
1カ月13万2000円ほどの収入になる。
収入以外にも「リゾートバイト」ならではの「経済的なメリット」もある。
仕事上がりに、ホテルのサウナで汗を流し、食事は3食ついている。
宿舎はホテルの部屋の一室があてがわれる。
ランドリーもホテルの設備を使用できる。
これらはすべて無料。つまり出費を抑えて、収入を得ることができるのだ。
矢野さんは休日には趣味のバイクで淡路島をツーリングする。
社会全体が高齢者に対する見方を変え、彼らの経験や知識を活かす場が増えていることも、シニアの労働意欲を後押ししている。
株式会社ニチダンの梅崎彰文さんは「経験豊富なシニアが多く、応用力が高いので企業にとっても非常に助かっている」と話し、企業側もシニア層を積極的に採用し、その能力を評価している。
高齢者の労働は、社会の一員としての役割を再確認する機会でもあり、彼ら自身にも大きな充実感をもたらしている。
■人口減少時代の「救世主」となるか
高齢化が進む日本において、シニアの労働意欲は社会全体に貢献する重要な要素となっている。
今後、企業と社会がどのようにシニアの働く場を提供し、彼らの持つ可能性を引き出すかが大きな課題となる。
「リゾートバイト」のような新しい働き方が増える中で、シニアの労働参加がどのように進化していくのか、注目される。
(関西テレビ「newsランナー」2025年6月6日放送)