宇宙開発のベンチャー企業「ispace(アイスペース)」が日本の民間企業として初めて月面着陸を試みましたが、挑戦は失敗に終わってしまいました。実はこのプロジェクトには、東北大学の多くの研究者が携わっていたことをご存じでしょうか。東北大の技術と夢を乗せて、これからも宇宙に挑み続けます。
「ispace」の元最高技術責任者で、東北大学大学院工学研究科の吉田和哉教授です。
東北大学院工学研究科 吉田和哉教授
「率直な気持ちとしては残念。成功して日本全体を盛り上げてほしかった」
日本の民間企業として初の快挙を目指したアイスペースの月着陸船。今年1月に打ち上げられ、6月6日午前3時過ぎ、着陸の最終段階に入りました。しかし、通信が途絶えてしまい、アイスペースによりますと、月面に衝突した可能性が高いということです。
東北大学院工学研究科 吉田和哉教授
「月は人類にとって、宇宙に進出していくための最初の拠点」
吉田教授は2010年のアイスペースの設立当初、「月面探査車」の開発に携わりました。こちらは「ムーンボット」という探査ロボット。4本の足で不安定な月の上でも自在に歩けるそうです。こうした吉田教授の研究がアイスペースの技術を支えています。
吉田研究室で学んだカナダ人のジョン・ウォーカー氏は、アイスペースで月面探査車を開発。そして、理学研究科を修了した氏家亮氏は、現在の最高技術責任者です。
ispace最高技術責任者 氏家亮氏
「ここで立ち止まるのではなく、しっかり次に反映して、我々が目指すゴールに向かって進んでいきたい」
東北大学院工学研究科 吉田和哉教授
「なかなかたどりつけないからこそ魅力的。夢の実現へ技術をしっかり作って、実現・立証していく。それに専念して結果をぜひ出してほしい」
東北大学は他にも夢のようなプロジェクトを進めていました。目指すのは、アニメ「ガンダム」の世界!月面に未来の人類に向けたメッセージを残そうという計画です。
ガンダム作品に登場する「宇宙世紀憲章」という石碑を模して特殊な金属プレートを造り、実際にアイスペースの船で月まで運ぼうというのです。特殊合金プレートは、東北大学金属材料研究所の笠田竜太教授が製作。ガンダムの装甲材「ガンダリウム合金」のように、厳しい宇宙環境にも耐えられる設計だそうです。
アイスペースは今回のデータをもとに、2027年に再び月面着陸に挑むということです。