戦後80年の節目を迎えた今年、核廃絶を訴える「国民平和大行進」が富山県内でも行われた。世界で初めて原爆が投下された広島と長崎を目指すこの行進に、被爆体験を語り継ぐ県内の被爆2世も加わり、平和への願いを新たにしている。

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日本海側から被爆地へ続く平和の道

「被爆2世で後を引き継がなければならない。平和行進でアピールしたい」と語るのは、富山-広島コースの通し行進者で長崎出身の尾崎庸美さんだ。原水爆禁止日本協議会(原水協)が毎年主催する国民平和大行進は、戦後80年の今年も全国各地から出発している。

富山県内では5月28日、日本海コースの出発点となる朝日町役場から行進がスタートした。その後、黒部市、富山市を通り、6月1日には射水市へと入った。行進は6月7日まで砺波市や小矢部市など県西部を回った後、石川県へ引き継がれる予定だ。

被爆体験を語り継ぐ使命感

「80年の節目の年、一歩でも二歩でも前進して、被爆者の思いを生きているうちに、長崎を最後の被爆地にしようという思いを一つにして訴えていこうではないか」

射水市に住む富山県被爆者協議会の小島貴雄会長は、父親の被爆体験を語り継ぐ活動を続けている。4年前から行進に参加している小島会長は、6月2日にも高岡市の行進に加わり、核廃絶への思いを新たにした。

次世代への継承と核なき世界への願い

小島会長は「より多くの人たちに語って理解してもらって、世界から核兵器廃絶という被爆者の思いを実現したい」と力強く語る。被爆者の高齢化が進む中、被爆2世としての使命感を持って活動を続ける姿には、核兵器廃絶への強い決意が表れている。

この平和行進は、日本海側の福井や京都などを経由して、8月4日に広島に到着する予定だ。戦後80年という節目の年に、被爆地を目指す行進者たちの足取りには、核兵器のない世界を求める思いが込められている。

富山テレビ
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