ホームラン数リーグトップの阪神・佐藤輝明選手(26)の活躍の裏に、実は超人・糸井嘉男さんからのアドバイスがありました。ことし2月の阪神タイガースのキャンプで臨時コーチも務めた糸井さんが、愛弟子・佐藤選手に独占インタビューです。
5月27日、倉敷マスカットスタジアムでの試合前、糸井さんが会いにいったのはタイガースの四番・佐藤輝明選手です。現在(6月2日)ホームランは12球団トップで、三冠王も夢ではありません。
■自分のバッティングの理解度が一段階上がったという佐藤選手
【糸井嘉男さん】「おお、テル(佐藤輝明選手)、プロテインパワーや」
【佐藤輝明選手】「あざす、プロテインバーいただきました」
【糸井嘉男さん】「ちょっと、大谷くんにホームラン抜かされているから、差つけられてるぞ」
【佐藤輝明選手】「やばいっすね」
早速インタビュー開始です。糸井さんが、佐藤選手の打撃好調の秘密を聞き出しました。
【糸井嘉男さん】「打撃2冠ですけど、自分の打撃をここまでどう感じていますか?」
【佐藤輝明選手】「結果も出ていますし、もっと打ちたいというのはありますけど、自分のバッティングに対する理解度が、もう一段階上がったかと思います」
■参考にする大谷翔平選手のバッティング「最近分かり始めました」
【糸井嘉男さん】「今年は大谷くんを参考にしていると言っていたけど、いまのところアジャストできているんじゃない?」
【佐藤輝明選手】「できていますね。もちろん大谷選手のバッティングは参考にしていますし」
【糸井嘉男さん】「(バットの)出し方?」
【佐藤輝明選手】「出し方というか、下半身の使い方とかは参考にしています」
【糸井嘉男さん】「そやね、足をあげない」
【佐藤輝明選手】「足をあげないのもそうですし、どこを動かしているのかなと見たりしていますね。いままでも参考にしていたんですけど、分からなくて。こうやって動いてるんちゃうかなと最近分かり始めました」
【糸井嘉男さん】「きました。大谷くん打法。その名もクリケット打法」
糸井さんが今年春のキャンプで臨時コーチを務めた際に、大谷選手も取り入れているというクリケットバットでのバッティング練習を、佐藤選手らにすすめました。5月27日の試合前にも、佐藤選手はクリケットバットで素振りをしていました。
【糸井嘉男さん】「きょうクリケット触っていたらしいな」
【佐藤輝明選手】「はい。たまに感覚を出すためにやります」
【糸井嘉男さん】「クリケット生きてたんや」
【佐藤輝明選手】「はい、遠征もずっと持っています。嘉男さんに持ってきてもらったやつです」
■糸井さんアドバイスの“間”で佐藤選手の打撃が変わった
【糸井嘉男さん】「まっすぐを捉えられる感覚ある?今までやったら、バーっと(強く)振っていたのが、柔らかいというか、力を入れていないような」
【佐藤輝明選手】「そうですね。いつか嘉男さんが言っていた『まっすぐを、まっすぐっ!って打つ』というのを、京セラ(4月3日の試合前)のときですかね」
いまや打撃2冠の佐藤選手ですが、開幕から4試合はヒットわずか1本、16打席で13振と新しいフォームでのタイミングが合わず苦しんでいました。
そんな悩める佐藤選手を救ったのが、糸井さんの言葉だったといいます。4月3日の試合前に伝えたアドバイスとは…。
【糸井嘉男さん】「(バッティングに)“間”がなかった。まっすぐまっすぐって思っていたらファールになるし。ある意味、変化球のようにまっすぐを待つ。それによってスイングが緩むじゃないけど(柔らかくなって)、まっすぐの力を利用して飛ぶようになった」
【佐藤輝明選手】「そういうことを言っているのかなと。“間”というか、ゆっくりタイミングとるみたいな」
【糸井嘉男さん】「だいたい僕の言っていることを理解してくれる人がいないんですけど、(佐藤選手は)それをたまたま理解した」
【佐藤輝明選手】「あれ(糸井さんの言葉)からちょっとずつ良くなったというか、あの時、三振ばっかりだったんですけど、ちょっと良くなりました」
【糸井嘉男さん】「そこに超人ありだったんや」
アドバイスを贈った直後の試合でいきなりホームランが飛び出し、放送席で解説していた糸井さんも思わずガッツポーズをしてしまいました。
■守備でも“脱力”でエラー激減
チームを引っ張るのはバットだけではなく、課題だったサードの守備でも大きな成長を見せています。昨シーズンはリーグ最多のエラーを記録しましたが、今シーズンここまでエラーはわずかに2つです。
【糸井嘉男さん】「守備でも脱力を心掛けていますか?」
【佐藤輝明選手】「結果的に抜くところは抜く。自然にできるようになっていると思います」
【糸井嘉男さん】「レフトもありましたね。(佐藤選手の)1年目に僕が一緒に外野を守りましたけど、外野の素質あるんですよ。肩も強いし。どうですか外野?」
【佐藤輝明選手】「嘉男さんぐらい守れるようになれば、ゴールデン・グラブ賞いっぱいとってますから 。でも選択肢というか、チームとしても柔軟に動けるので、戦力としても価値があると。外野もやる気ですよ」
■ファンが期待する『ホームラン王』「もちろん取りたい」と佐藤選手
攻守ともにファンを魅了する佐藤選手。やはりファンが一番期待するのはホームランです。6月1日の試合では、崩されながらもリーグトップの13本目のホームランを放ちました。
【糸井嘉男さん】「阪神でホームラン王になったら、1986年のバースさん以来ですよ。何十年出ていないということです」
【佐藤輝明選手】「40年弱、39年…」
【糸井嘉男さん】「これは意識せんわけないよね」
【佐藤輝明選手】「もちろん、(本塁打王を)取りたいという思いはありますけど、1試合1試合、1打席1打席、頑張りたいです」
【糸井嘉男さん】「焦らせないでくださいよ。そんなに言わして」
佐藤選手のリラックスした表情はもちろん、体の使い方やタイミングの取り方など、感覚ベースの話は、糸井さんだからこそ引き出せたのではないでしょうか。
やはりタイガースファンから佐藤選手への期待はものすごいものがあります。甲子園球場の打席に入るときの歓声が物語っています。
佐藤選手の好調な打撃は、6月2日時点でセ・リーグ首位を走っているチームにとって、非常に大きな役割を果たしています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年6月2日放送)