大分市役所の入札を巡り市議会議員などが逮捕されて30日で1週間です。
市議が秘密であるはずの予定価格を市から聞き出し業者に伝えることは10年以上前から続いていたとみられています。30日、事件後初めての市の定例会見が開かれ足立市長は「かなり以前から議員への漏洩があったと思う」と述べました。
大分市の除草業務委託の指名競争入札を巡る入札妨害事件。公契約関係競売入札妨害の疑いで当時大分市議会議員だった山本卓矢容疑者45歳が逮捕されました。
山本容疑者は2024年5月、市の職員から予定価格を聞き出し業者側に教えて落札させた疑いが持たれています。捜査関係者によりますと山本容疑者は容疑を認めているということです。
長年、市職員から市議に対し予定価格が漏洩していた疑惑。
30日の記者会見で足立市長は次のように話しました。
◆足立市長
「相当広い範囲でかなり以前から職員から議員への漏洩があったと思う。議員から依頼されて職員が断るのはかなり困難だと私も思う」
市では、捜査が続いているため現時点では内部調査を行っていないものの、市職員の関与が明らかになれば処分を検討するために「頃合いをみて内部調査に踏み切る」と話しました。
また、2月起きた官製談合事件を受けて業務委託契約のすべての入札の予定価格を事前公表にしたことで「今後、類似事案は起こらない」としています。
◆足立市長
「今回の件に対してはすでに手を打っている中で出てきた。あとは捜査を見守るしかない。どこまで広がるのか分からない」
◆甲斐菜々子記者 30日午後5時ごろ
「自民党大分市連では逮捕された山本前市議が容疑を認めたことを受け、緊急の会議が開かれています」
会議では山本容疑者が30日正午ごろ弁護士を通じて大分市議会の田島議長に辞表を提出し議員辞職したことが報告されました。
また自民党の離党届も大分市連に出されたということです。
◆自民党市連 秦野恭義会長「山本卓矢議員が議員辞職に至ったこと、市民の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたこと、心よりお詫びを申し上げたいこの度は大変申し訳ございません」
山本容疑者の離党については今後県連で正式な手続きを行うということです。
現職の大分市議会議員が逮捕されたこの事件。事件の発覚から30日までの1週間を振り返ります。
23日に現職の大分市議会議員が逮捕された事件。逮捕当日、警察は議会に家宅捜索に入りました。
公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕されたのは大分市議会議員だった山本卓矢容疑者45歳。
山本容疑者は大分市の指名競争入札で市の職員から聞き出した予定価格10数件を業者側に教え落札させた疑いが持たれています。
◆TOS 渡辺一平記者
「大分市の指名競争入札を妨害した疑いで逮捕された容疑者の身柄が大分地検に送られます」
また山本容疑者から予定価格を聞き市の事業を落札した疑いがある造園業者の社長など2人も逮捕・送検されました
落札したのは、市の都市計画部の公園緑地課が担当する2件の除草業務委託事業。捜査関係者によりますと3人は容疑を認めていますが一体なぜこのような事件が起きたのか。
その後の取材で見えてきたのは長年続いてきた議員と市の癒着の関係です。
予定価格を知る市の職員は警察の任意の事情聴取に対し、「予定価格を議員に伝えるのは悪いことではないかと思っていた。上司に相談したが、以前から慣例化していて議員に伝えるよう言われた」などと話しているということです。
またある現職の大分市議は「全員ではないが予定価格を業者に伝えている議員がいる」「少なくとも10年以上前から続いていて選挙で支援してもらう関係で企業から頼まれてきた」と証言しました。
市議会の議長も30日「予定価格を聞かれたことがある」と明らかにしました。
◆大分市議会 田島寛信議長
「私ですか？あります正直あります。執行部からそういうことをしていたら大変なことになるとたしなめられて、教えなかった？それは当然です」
ここから事件を取材している児玉記者に今後の捜査のポイントを解説してもらいます。
今回の事件で明るみになったのは「現職の市議が造園業者に秘密である予定価格を伝えていた」ことです。これは選挙の支援の見返りだったとみられることがこれまでの取材で分かっています。
今後の捜査の焦点は山本前市議と市の職員の関係性です。
入札の予定価格は秘密事項で通常市議は知ることはできません。
捜査関係者によりますと山本前市議は「予定価格を市の職員から聞き出し業者に伝えた」などと供述しています。市の職員は「予定価格を伝えるのは悪いことではないかと思っていた。上司に相談したが以前から慣例化していて議員に伝えるように言われた」などと警察に説明しています。
警察は市の職員について地方公務員法違反などにあたる可能性もあるとみていて今後立件するかどうか慎重に捜査を進めています。
