5月30日のテーマはこちら、「南海トラフ地震の広域応援体制」です。
3月末に国が公表した南海トラフ地震の新しい被害想定では、震度6弱以上または津波高3メートル以上となる市町村が、宮崎県を含む31都府県の764市町村に及ぶとされています。
山下先生、これは全国でどのくらい影響が及ぶと考えれば良い?
(宮崎公立大・山下裕亮准教授)
「面積にして全国のおよそ3割、人口では全国のおよそ5割を占め、影響は『超広域』にわたる」
こうした中、九州で協力して南海トラフ地震に対応しようと、28日、各県の知事などが意見を交わしました。
28日、福岡県で開かれた九州地方知事会議。
九州・山口の9つの県の知事などが出席し、「南海トラフ地震に備えた広域応援体制」などについて議論しました。
(九州知事会長河野俊嗣知事)
「より実効性の高い広域訓練を継続して繰り返し実施していくことで、防災に強い九州を作っていくことが必要ではないか。発災直後の動きも含めて九州全体の支援体制を構築していこうという意見が出された」
去年1月に発生した能登半島地震では、多くの自治体が被災地支援に入りましたが、主要な道路が寸断する中、現地入りに時間がかかったり、応援職員が宿泊できる場所がなかったりと混乱が生じました。
こうしたことを踏まえ、国は、南海トラフ地震で甚大な被害が想定される太平洋側の10の県に、事前に決めた自治体から応援職員を派遣する行動計画を定め、4月から運用をスタート。
大分県には佐賀県、宮崎県には長崎県から応援職員が入り、避難所の運営や災害対策本部の支援、家屋の被害調査・罹災証明書の交付などにあたります。
県の担当者は今後、宮崎の被害想定を長崎県側と共有し、応援に入るルートなどを具体的に検討していくとともに、県をまたいだ広域避難など九州全体での応援体制についても話し合っていきたいとしています。
九州各県では、今年10月に南海トラフ地震を想定した訓練を行うということです。また大規模災害が発生した場合は、九州知事会の会長県である宮崎県が中心となって応援体制の調整などを行うことになっていますが、南海トラフ地震が発生した場合は、宮崎が甚大な被害に見舞われるため、熊本県を「会長代行県」として対策本部を設置することなどを28日の会議で確認したということです。