政府が随意契約で大手のスーパーなどに放出する備蓄米の受け渡しが29日から始まりました。

すでにネット販売を開始しているところもあり、早くもコメの争奪戦が繰り広げられています。

小泉農水相「選択肢は増える」

29日から始まったのが随意契約した大手スーパー向けの備蓄米の受け渡し。

2022年産の備蓄米が市場に出回ることになります。

いわゆる“小泉備蓄米”の第1弾とあって、小泉農水相は「市場には間違いなく動きが出る」と随意契約の意義を改めて強調しました。

◆小泉 農水相
「焦って買わなくとも、選択肢は増えます。購買行動の変化によって今まで持っていたところが、市場に対して出していくという、こういったことが出てくれば、私は間違いなく動きは出てくると思っています」

さっそく29日朝から始まった備蓄米の受け渡し。

1万トンの備蓄米を随意契約した生活用品大手の「アイリスオーヤマ」の精米工場に備蓄米が運ばれ、精米作業が進められました。

◆アイリスオーヤマ 田中伸生 執行役員
「新米が発売される時期になれば、在庫を残してはいけないという、小売り各社の思いも出てくるので、一石を投じるような今回の備蓄米の放出になったんじゃないかなと」

“小泉備蓄米”ネット販売で争奪戦

アイリスオーヤマでは29日から備蓄米のネット販売もスタートしました。

5キロの備蓄米を税込み2160円で販売します。

午後1時から予約受付を開始しましたが…。

◆記者
「アクセス集中しているのか、ページに飛ぶことができません」

予約開始直後からサイトにつながりにくい状態に。

そして50分後…。

◆記者
「あ、特設サイトにつながりました!が、きょうの予約受付分は完売したということです」

1時間経たずして29日の販売分は売り切れとなってしまいました。

同じく29日の午後からネット販売を開始した楽天グループは…。

◆記者
「特設ページのURLが公開されています。あ、出ました!5キロで1980円、税込み2138円となっています」

こちらは特設サイトにスムーズにアクセスできました。

しかし、購入を試みるとアクセスが集中しているのか、なかなか次のページに進みません。

あきらめかけたそのとき、予約画面にアクセス成功しました。

配達日を指定し、あと一歩で予約完了ですが…。

◆記者
「あ、いま日にちまで指定したんですけど、一時的なシステムエラーでお買い物できませんと表示されました」

その後もくり返しチャレンジしてみるも最終的な購入には至らず、2時間ほどで完売に。

ネット上では早くも激しいコメの争奪戦が繰り広げられていました。

「30キロ袋入りの玄米販売も検討」

では、店頭に備蓄米が並ぶのはいつになるのでしょうか?

◆赤木アナウンサー
「こちらのホームセンターでは、店内の目立つ場所にお米が並べられています。価格は4580円。高値が続いています」

大手ホームセンター「カインズ」も、随意契約の備蓄米を申し込みました。

販売開始がいつになるかはまだ決まっていませんが、販売量は5000トンを予定しています。

Q.備蓄米はいくらで販売する?
◆カインズ福岡新宮店・販売担当 安部由美さん
「現時点で税込み価格2160円を目指して検討している」

5キロ2000円台、値段を聞いた客は…。

◆買い物客
「安くなるのはうれしいよね」

「出来れば安い方がいいですからね。家族も食べるから」

さらにカインズでは一度にコメを多く手に入れたい客の要望もあることから、日持ちもする30キロ袋入りの玄米の販売も検討しているということです。

Q.玄米を30キロ袋で売る予定だが
◆買い物客
「別にかまわないです。そこにコイン精米所があるから、玄米で保管していれば、精米したらそこそこ新鮮だと聞いている。夫婦2人ならちょっと古くてもいいかなと思う」

◆カインズ福岡新宮店 安部由美さん
「コメの高騰はより消費者の暮らしを圧迫していると感じている。コメをより安く、多くの方に提供できる手段があるならぜひ活用したいと思っている」

“小泉備蓄米”5キロ1000円台での販売検討も

随意契約で放出された大手スーパー向けの2022年産政府備蓄米。

福岡県内のほかのお店ではいつごろ購入することができるのでしょうか?

福岡市東区に本社を置くディスカウントストア「ミスターマックス」は6月上旬をめどに店頭で販売する予定で、価格は税抜きで5キロ1000円台を目指すということです。

一方、「ドン・キホーテ」では来週にも店頭に備蓄米が並ぶ予定で、販売価格は5キロ2000円台で検討しているということです。

街の米穀店も“小泉備蓄米”に意欲

さらに、「令和のコメ騒動」解消に向け、小泉農水大臣が第2弾として30日から受付を開始するのが、中小スーパーや街の米穀店向けの備蓄米の売り渡しです。

◆記者
「こちらは宇美町にある米穀店です。あすから始まる、地域の店舗向けの備蓄米の随意契約に申込みをする方針だということです」

福岡県宇美町にある「いしぬき米穀店」も30日に始まる備蓄米の随意契約申込みに意欲を見せています。

しかし29日午前の段階では、まだ詳細がつかめておらず、多少の不安も…。

Q.どれくらいの備蓄米を扱いたい?
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「まだ本当に不透明なので、はっきりした数は説明会を受けてから」

一番の懸念は、取引の対象となる2021年産の備蓄米、いわゆる「古古古米」の品質です。

◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「食味で言うと固かったりとか、どうしても水分が少なくなっているので、固く炊き上がったりとか。敏感な方は臭いとかも気になると思う」

ただ、価格を重視する顧客のニーズは高まっているようで、こちらの店では安い値段で販売している小粒や白く色付くなどした規格外の米の売れ行きが伸びているといいます。

Q.何キロいくらで販売?
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「10キロ6300円です。昨日も40袋くらい、10キロ作ったがこれが2日ぐらいで売り切れる」

品質が落ちた備蓄米を含め、このような古い米は、冷蔵庫などで冷やした水で炊いたり日本酒やはちみつを入れたりして炊き方を工夫すれば味の改善も見込めると言います。

◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「冷たい水で炊くのは40~60℃の温度間をゆっくり上げたいというのがある」

Q.日本酒やハチミツは?
「お米の表面のコーティングというかですね、ツヤが出たり、粘りが出る」

取材中にはこんな電話も…。

◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「もし入荷すれば、通常は5キロ販売ですけど、1キロとかお試しでっていう方には…」

Q.皆さん備蓄米の関心は高い?
「関心は高いと思う」

日本人の暮らしに欠かすことができないコメ。

今回こそ、長引く価格高騰に歯止めをかけることができるのでしょうか?

テレビ西日本
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