価格の高止まりが続くコメについて。政府備蓄米の随意契約による売り渡しについて、生活用品大手・アイリスオーヤマが、1万トンを購入することが決まりました。

5月27日午後4時過ぎ。アイリスオーヤマの大山晃弘社長が、小泉農林水産相と面会しました。アイリスオーヤマでは、政府備蓄米を1万トン購入することが決まっていて、大山社長は、6月2日から自社のインターネット通販やホームセンターで、5キロあたり税込み、2160円での販売を目指していると説明しました。

こうした中、コメの価格高騰は続いていて、5月18日までの1週間に販売されたスーパーでの平均価格は、5キロあたり税込みで4285円で、前の週より17円値上がりし、2週連続で過去最高を更新しました。去年と同じ時期と比べおよそ2倍となっています。

種類別では産地と品種が単一の銘柄米が4469円、備蓄米を含むブレンド米などが3924円で、いずれも前の週より値上がりしました。

今回政府が打ち出した随意契約での備蓄米放出によって、価格の下落につながるか注目されます。

今回の政府の対応ついて、消費者は…。

消費者
「2000円台…そうしたら買うかもしれない。今すごくお金がかかるので、安い商品に手を出すかな」
「いいんじゃないですか、備蓄米でしたら。普通のコメの半額」

一方、今回の随意契約は、「年間1万トンの取り扱いがある事業者」などという条件もあります。

こちらのスーパーは、年間の取り扱いが1万トン未満のため、対象外となっていますが、コメの流通が活性化することを期待しています。

生鮮館むらぬし 村主芳治社長
「備蓄米を大手が売って、飲食店の人がいっぱい買ってくれると、こっちに回ってくる。コメが増えて安くなるのでは」

小泉農水相が打ち出した6月上旬の2000円台。農業政策に詳しい専門家は…。

宮城大学 大泉一貫名誉教授
「実現不可能な価格ではないと思います。今回出る、令和4年産・3年産のコメは、1万円前後で政府が買っている。その金で計算すると5キログラム850円弱。そうするとそこに配送とか精米を含めた1200円ぐらいのコストを上乗せすると、大体2000円ぐらいになる」

一方、産地と品種が単一の「銘柄米」などの価格は、すでに高騰した価格で仕入れられているため、直ちに価格を下げることはできないと指摘します。

宮城大学 大泉一貫名誉教授
「安い備蓄米と高い銘柄米とが並ぶという構造が、しばらくは続くのではないでしょうか」

コメ農家は…。

コメ農家 後藤幸太郎さん
「コメ価格の高騰は、やはり異常ですよね。消費者が安くお米を買えるのと、備蓄米を消化できるのでいいことだと思う。悪い値段ではない。粗悪品が出回るような値段ではないと思います」

後藤さんの下には、知人などからコメを売ってほしいとの声が多く寄せられ、在庫は例年よりかなり少なくなっています。

コメ農家 後藤幸太郎さん
「今まで連絡が来なかった人まで紹介で来られたり。北海道にも送ったり」

来年は、ともに生産している大豆の栽培面積の17パーセントほどにあたるおよそ3ヘクタール分を、コメの作付に戻し、増産を図る方針です。

コメ農家 後藤幸太郎さん
「経営安定対策の水田利活用の交付金の単価も下がったままなので、政府には見直してもらいたい。見直してもらうことで生産も増える。コメ生産は構造的に流通の改革も必要」

仙台放送
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