「陰の大統領」とも呼ばれたイーロン・マスク氏が、トランプ政権を離れると表明しました。
アメリカのトランプ政権で政府効率化省を率いていた実業家のイーロン・マスク氏は28日、自身のSNSに「私の特別政府職員としての任期が終わりを迎えようとしている。無駄な支出の削減に取り組む機会を与えてくれたトランプ大統領に感謝したい」と投稿し、ホワイトハウスを離れる考えを表明しました。
マスク氏はまた、「政府が続く限り、政府効率化省の使命は強くなるだろう」と書き込み、自身が去った後も政府効率化省が存続することを示唆しました。
マスク氏をめぐっては、「陰の大統領」と呼ばれるほどの影響力と強引な手法が批判され、CEOを務めるテスラの不買運動にも発展していました。
このニュースについて、フジテレビ・立石修解説委員室長とお伝えしていきます。
青井実キャスター:
現地メディアによりますと、そもそもマスク氏が就いていた特別政府職員は130日間、5月末で任期を終えたわけですが、マスク氏を巡っては先日、現地メディアのインタビューの中で、トランプ政権の減税法案について「失望した」と批判する場面もあったということなんですが、非常に仲良かったイメージがありますが、なぜ離れたんでしょうか。
フジテレビ・立石修解説委員室長:
これは、2人とも蜜月な、べたっとした近い感じというものを1回払拭する必要にお互い迫られていたのではないかと思います。マスクさんにとっては、選挙で国民に選ばれたわけではないのに強権をふるっているということで、国内外からの強い反発があった。これがテスラの売り上げに深刻な影響を与えていたんです。特にヨーロッパでは、4月の販売数が前の年に比べて半減している。つまり政治活動をすることよって本業のほうに深刻なダメージが出ている。一方、トランプさんにとってはマスクさんの影響力が強すぎることに対して、身内の共和党からも反発が出ていた。更に、民主党はそれを攻撃材料にしていたんです。
青井実キャスター:
大統領就任後、2人で一緒にいる姿をずっとお伝えしてきましたが、連日マスク氏について投稿してきたトランプ大統領が4月以降、全くSNSでマスク氏に触れなくなっているということです。立石さんが「1回払しょくする」とおっしゃいましたけど、このまま1回離れるのかずっと離れるのか、どうなんでしょう。
フジテレビ・立石修解説委員室長:
表面上、距離感を演出するかもしれませんが、関係が全く断絶されるとは考えにくいです。というのも、先週行われた南アフリカの大統領とトランプさんのホワイトハウスでの会談で、会談中にトランプさんから少し離れた場所に立つマスクさんの姿を確認することができる。今月半ばの中東外遊でも、マスクさんが会合に同席しているのが確認されています。2024年、マスクさんは共和党側に420億円もの献金を行っていて、こういった資金力というものはトランプさんにとっては魅力的ですし、マスクさんにとってはトランプさんとの関係、権力に近いという関係性が例えば中東などでの新規ビジネス開拓などにもつながる。だから、ビジネスやお金といったコアな部分では、2人のつながりはなかなか切れないのではないかと思いますよね。
青井実キャスター:
政府効率化省(DOGE)ですが、マスク氏の影響力が残るということはあるんですか?
フジテレビ・立石修解説委員室長:
DOGEでの活動が強い批判を受けていて、これに深く関与することは、トランプさんもマスクさんも両方得策ではない、と考えているのではないかと思います。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
一緒にいてプラスにならない、逆にマイナスになるからこそいったん離れるんだと思います。本業のほうも陰りが出ているということで、いずれこうなるだろうという気はしてましたけどね。
青井実キャスター:
もう1回戻るという可能性は?
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
お金がきっかけになると思います。トランプ大統領がお金に困ってきたら、その時には助け舟を出すかもしれない。そうでなければ、このままかもしれない。