「右目の視力をほぼ失ったのは、保釈請求を何度も却下され、適切な治療を受けられなかったため」として、男性受刑者が国におよそ1億1500万円の損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は訴えを棄却しました。
■拘置所で医師に「糖尿病による網膜症」と診断され「治療を受けないと失明のおそれがある」
訴状などによると、現在、大阪刑務所に収容されている男性受刑者(50代)は2019年、薬物を密輸した疑いで逮捕・起訴されました。
勾留されていた大阪拘置所で、男性受刑者は医師から「糖尿病による網膜症」と診断され、「治療を受けないと失明のおそれがある」と言われたということです。
男性受刑者は、外部の専門的な医療機関で治療ができるよう、電報を送って代理人弁護士を通じて保釈請求をしましたが、大阪地方裁判所は請求を却下。
その後も、2度にわたって保釈請求をしますが、大阪地裁はいずれも退けていました。
こうした間も、男性受刑者の視力は悪化の一途をたどります。
【男性受刑者から弁護士に宛てた手紙より】「一回光を失うと復活しないので早急にお願いします。ちょっとここ4、5日間の悪化具合にビビッています」手術を受けられたのは診断からおよそ半年後。
かつては裸眼で車の運転もできた男性受刑者の視力は、眼鏡などによっても矯正がきかないほどに悪化。
国を相手に損害賠償を求める「国家賠償請求訴訟」を起こしていました。