5月23日から3日間、福井県勝山市の平泉寺白山神社で33年に1度の御開帳が行われました。訪れた人は約22万3000人。一生に1度か2度会えるかという白山の女神を一目見ようと大勢の人が長い列をつくりました。神様はどのような表情をされていたのでしょうか。
5月23日、勝山市の平泉寺白山神社では御開帳が行われる本社を目指し、参道を歩く人たちの姿がありました。
33年に一度行われる御開帳。本社に祭られている白山の女神の姿を“一目拝みたい”と朝から大勢の人たちが訪れていました。
「露払い~!」
集まった人たちの間を通り現れたのは、神事を執り行う平泉寺白山神社の平泉紀房宮司です。笙の音に合わせて御簾が上がり、本社の扉が開きました。
「かしこみかしこみ~申す~」
「御八紘~!御八紘~!」
神事が終わり、ようやく念願の白山の女神との対面。河上御前が姿を現しました。
御神体と対面した参拝者はー
「すごく優しそうな顔をしていたので心が和んだ」
「お礼を言いました。長いこと生きさせてもらったので」
「(何を祈った?)世界の平和と家族の健康」
平泉宮司は「人生に一度きりであろうと、三度、四度と御開帳に恵まれようと、やはり珍しいのは面白いこと。楽しむ機会が増えてより良い時代になったなという印象」と話します。
御開帳2日目。現れたのは、武装した僧侶「僧兵」の装束に身を包んだ人々です。平泉寺は、中世には8000人もの僧兵を抱える一大宗教都市だったとされています。
日頃、白山を中心に修行を積む山伏たちに先導されて、本社までの約2キロを僧兵に扮した市民らが練り歩きました。「草履で足が痛い」「33年前には父が参加した。とても感動した」
僧兵たちも見守る中、33年前と同じく山伏たちによる「護摩行」が行われました。
願い事が書かれた護摩木を火に放り込み、人々の悩みを炎が焼き尽くすとされています。
3日間にわたり行われた平泉寺白山神社の御開帳。スギの巨木が続く参道と苔むす境内の神秘的で荘厳な空間で、多くの人たちが神様とのご縁を結んでいました。
33年前は、今回の平泉宮司の祖父が宮司を務めていました。今年の御開帳にあたっては。過去の文献や祖父の書き残したものを読んで臨んだといいます。
平泉寺白山神社の美しい境内は地元の人たちが清掃を続け、昔と変わらない風景を保ち続けています。そこには、33年後、さらに33年後と受け継ごうという人々の思いがありました。