自民党総裁である石破首相と公明党の斉藤代表、立憲民主党の野田代表が27日、国会内で会談し、政府が提出した年金制度改革法案について、自民党内の議論を受けて、いったん削除された厚生年金の積立金を活用した基礎年金の底上げ策を復活させる修正を行うことについて、正式に合意した。修正案は3党で共同提出する形となり、これによって法案は今国会で成立する見通しとなった。

修正案では、4年後に行われる予定の次回の年金財政検証で、国民年金と厚生年金のマクロ経済スライドの調整期間に「著しい差異」があり、「基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合」に、調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずることを法案の付則に盛り込んだ。

具体的な措置としては、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げするもので、これにより、厚生年金の受給水準が一時的に減少することが見込まれる高齢者層については、「影響を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずる」とした。

石破首相は合意後に、記者団の取材に応じ、「先ほど3党で合意に至ったことは非常に意義深いことであり、うれしいことだ」と述べた。

この措置を発動する場合に、基礎年金を底上げ分の半分をまかなうために必要になる税財源については、「仮に発動する場合においても、国庫負担は2030年代の半ばから徐々に増加するものでありますので、今後、社会経済情勢の状況に応じて、修正案の規定をふまえ検討していくことになる」と述べた。

立憲の野田代表は「本当は3月に出てくるはずの法案が5月になってようやく出てきて、会期末まで残りわずかということだったので、本来ならば丁寧にもっとさまざまな論点について、審議をすべきだったが、最低限必要な最も肝の部分である基礎年金の底上げを中心の修正に絞らざるを得なかった」と指摘した。

そのうえで抜本的な改革を求める声もあるとして、今回の法案は年金改革の一里塚であり、これからも真摯(しんし)に協議をする場を作るよう与党に要請したと明らかにした。

今回の修正措置は、就職氷河期世代などが低年金や生活保護に陥るのを防ぐために必要なものとされているが、基礎年金は財源の半分を税でまかなうことになっているため、底上げに伴い必要な2兆円程度とも指摘される税財源を明記すべきだとの声も出ていて、4年後も見据えた課題となっている。

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