島根・雲南市で、飼い犬が相次いで不審な死を遂げてから5月下旬で2か月が経った。保健所が死因について調べているが、特定には至っていない。
今もやり場のない思いを抱えたままの飼い主の男性を取材した。

相次いだ飼い犬の“不審死”…発覚から約2か月
川津幸寛さん:
トラちゃん、本当に楽しくしてくれた。運動させてくれたし、まだ一人で散歩してるからな。
供えた花の前で語りかけるのは、雲南市の川津幸寛さん。2か月前に愛犬の「トラ」を突然失った。
雲南市三刀屋町では、3月21日から23日にかけて、飼い犬の不審な死が相次いでいた。

川津さんの愛犬で柴犬の「トラ」とビーグルの「殿」、柴犬の「コタロー」を含め、少なくとも4匹の飼い犬が町内の河川敷を散歩後に体調を崩して死んだという。

被害にあった飼い主「不審なものをくわえていた」保健所が調査始めるも…
飼い主はいずれも、「犬が不審なものを口にくわえていた」と証言。この事態を受けて保健所が死因の特定に乗り出していた。
川津さんは保健所の調査に全面的に協力し、早期の究明につながればと、埋葬した「トラ」を掘り起こし、献体として提供していた。

あれから2か月経った中、献体として提供していた「トラ」の亡骸が川津さんのもとに戻ってきたという知らせを受けて、記者が川津さんを訪ねた。
川津さんは「見てくださいこれ…。ずっと冷凍したままだから色が変わってます。かわいそうです」と話し、約50日ぶりの対面に改めて悲しみがこみあげてきたようだ。

愛犬の“不審死” 原因究明を約2か月間待ちわびた飼い主
しかし…川津さんは「保健所からの説明は聞いたんですけど、原因が分からないです。年単位の調査、長期間の調査が必要だということです」と保健所とのやり取りを明かした。
保健所によると、「トラ」を専門の研究機関に送り、解剖して胃の内容物や内臓の状態を確認したものの、死因の特定には至らなかったといい、2か月待っても”真相”が届かなかったことに肩を落とした。

久しぶりの対面から一夜明け、川津さんは「トラ」を再び埋葬することにした。献体処理で傷ついた姿を見たくないと、ダンボールのまま土に返した。
川津幸寛さん:
他の飼い主にも連絡しましたが、原因が分からないということで、本当に残念がっていた。原因が解明されることを待っています。

死因判明のめど立たず…“現場”には注意看板 住民の不安払しょくはいつ?
島根県薬事衛生課によると、研究機関による検査は続くとしているが、死因判明のめどは未だ立っていない…。

不審死した飼い犬の散歩コースとなっていた河川敷には、「落ちているものに触れない!犬などに食べさせない!」と書かれた看板を島根県が立て注意を呼び掛けている。
真相は依然として謎に包まれていて、周辺の住民の不安は払しょくされていない。
(TSKさんいん中央テレビ)