永田町では解散風がビュービューと 

この文章を書いている9/23現在、東京には台風12号が接近しているらしいのだが、永田町ではすでに強風の「解散風」がビュービューと吹き荒れている。

メディアによる菅内閣の支持率は60%を超え70%台の社もある。安倍前首相側近の下村自民党政調会長は「自民党の若手はほぼ全員が早く選挙をやってもらいたいと思っている」と述べて菅首相に早期解散を求めた。

菅首相に早期解散を求めた下村政調会長
菅首相に早期解散を求めた下村政調会長
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「青木率」が100を超えている!

自民党には「青木率」というフシギな数字がある。これは元官房長官の青木幹雄氏が編み出した数字で、内閣支持率と政党支持率を単純に足した数字が100を超えると現有議席を確保できる、というもの。統計的根拠は全くなく青木氏のただの「勘」らしいのだがこれがよく当たるのだ。逆に50を切るとその政権は崩壊する。これも当たる。

ただの「勘」が当たる青木幹雄元参院会長
ただの「勘」が当たる青木幹雄元参院会長

この青木率が世論調査を見ると軒並み100を超え、中には120を超えている社もある。つまり青木率によると選挙を今やれば自民党の現職議員は全員当選することになる。だから下村氏の言うように「若手は全員早く選挙をやってほしい」と思っているわけだ。

解散が好きではない菅首相

これに対し菅首相は「新型コロナの感染拡大防止と経済の両立にまずは全力をあげて取り組んでいきたい」と述べ早期解散には慎重な姿勢を示している。

2008年の麻生内閣で、早期解散論が麻生首相以下大勢の中で、菅氏が一人だけ「今はリーマンショックの後始末をすべきで解散する時ではない」と主張し、解散論を無理やりねじ伏せたのは有名な話。しかし結果は任期満了に追い込まれ自民党は惨敗してしまった。つまり菅氏のせいで負けた。

その後の安倍政権でも麻生氏が常に早期解散を主張するのに対し、菅氏は慎重論を唱えてきた。つまり菅氏は解散があまり好きではないらしいのだ。

ただ解散は勝てる時にしないと絶対にダメだ。その理由については元大阪府知事の橋下徹氏が「菅氏の任期は残り1年。改革に抵抗する人達は時間切れを狙う。4年の任期を得て大きな改革をやるために解散総選挙は重要、必要。」と述べていることに尽きる。

「大きな改革をやるためには解散総選挙が重要」と語る橋下徹氏
「大きな改革をやるためには解散総選挙が重要」と語る橋下徹氏

政治空白はもちろん作らない方がいいのだが、もし国民が菅氏に改革を期待しているならここで解散総選挙をして民意を確認するというのは一つの方法だ。

「総裁選では政治空白を嫌って党員投票をしなかったのに、解散総選挙をするのはおかしい」という人が時々いるのだが、

1)首相は国民が選挙で選んだ国会議員が投票で選ぶのが民主主義
2)安倍退陣の後すぐに後継を決めないと「権力の空白」ができ有事の際に心配
3)解散総選挙をしても首相や閣僚はいるから政治空白はできない

ということを実はみんなわかっているのではないか。

だから菅さん、早く解散した方がいいと思います。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。