大野市の九頭竜湖の横にそびえる標高約1000メートルの鷲鞍岳。新緑の季節、芽吹いたばかりのブナ林に囲まれ森林浴を楽しむトレッキングへとご案内します。
◆九頭竜スキー場に登山口
大野市内から車で約20分。九頭竜湖の西側に位置するのが鷲鞍岳です。昔、殿様がこの場所で馬に乗り、鷲で狩りをしたという言い伝えが名前の由来といわれています。
山の北側に位置する九頭竜スキー場から、登山ガイドの脇本浩嗣さんと一緒にトレッキングスタート。スキー場の横を通過すると、案内板が見えてきました。
◆ブナやナラの新緑
スギ林を登りはじめて少しすると、ニリンソウが出迎えてくれました。さらに歩くと脇本さんが立ち止まりました。「これはオウレン。花が終わって種になるところかな」オウレンが辺り一面に広がっていました。
標高が上がるにつれてブナやナラの木が増え始めました。芽吹いたばかりの柔らかな葉が登山者を優しく迎え入れます。
◆百名山を臨む
福井県内唯一の日本百名山「荒島岳」の姿も見え始めました。急な坂を超えると、山頂までの道のりは残り半分です。
◆和泉地区の後方には白山連峰
「足跡ある!カモシカ!」脇本さんが思わず声を上げます。残雪の上に、真新しいカモシカの足跡が残されていました。
稜線からは、和泉地区の後方にたっぷり雪をまとった白山連峰を臨むことができました。
◆約2時間半で山頂に
細い枝をかき分けて進むとー
「風が変わった。涼しい」
ブナが涼しい風を運んでくれます。
出発して約2時間半。「着きました、山頂です」
木々に囲まれ、残念ながら山頂からの展望は良くありませんでしたが、取り付けられた赤い鈴を鳴らして、気分を盛り上げます。
◆ブナの峰走り
下山はルートを変えて、九頭竜湖側へ。どこまでも広がるブナ林が太陽を受け、若葉が一層鮮やかに輝き出します。
「ブナの峰走り」という言葉をご存知でしょうか。明るい緑色のブナが他の木に先駆けて芽吹き、鮮やかな新緑が麓から山頂へ上がっていく様子を表しています。その速度は1日に10メートルともいわれ、まさに山頂へと駆け上がっていくような速さ。春の息吹を味わえるとっておきの季節です。
新緑を全身で味わいながら下っていくと、徐々に九頭竜湖が見えてきました。出発から4時間あまりで九頭竜湖へと到着。
九頭竜湖周辺では、長野県を結ぶ中部縦貫道の工事が着々と進められていました。
大野市と岐阜県を結ぶ国道158号は、3月に大野市内で発生した斜面崩壊により、
一部通行止めとなっていますが、福井県内から九頭竜湖周辺までは通行することができます。
熱中症対策など、十分な配慮をしたうえで安全な登山をお楽しみください。
<鷲鞍岳へのアクセス>
JR越美北線の終着駅「九頭竜湖駅」から徒歩10分、九頭竜スキー場近くに登山口