小学校から案内があったイングリッシュキャンプを巡り、全国で相次いでいる返金トラブル。
キャンプ運営団体の元職員は、FNNの取材に巨額の未払い金があることを明かしました。
宮城復興支援センター・元職員:
ざっくり億前後はあるのではないか。元々自転車操業だった。時間の問題なのかなと思っていました。
問題となっているのは、宮城・仙台市の一般社団法人「宮城復興支援センター」。
子供たちと留学生の国際交流イベントである「イングリッシュキャンプ」を各地で開催しています。
そのキャンプが突然中止されたにもかかわらず参加費が返却されていない返金トラブルについては、先週、「イット!」が報道。
小学校で配られたチラシを見て参加費3万円を振り込んだという保護者ですが、「旅行開始日の2日間前に(息子が)インフルエンザになった。直前のキャンセルだったので全額が戻ってこないことは分かっているが、スキー用品なども買ったので、せめてツアー料金だけでも戻ってきてほしい」と話します。
申込用紙を見ると2日前のキャンセル料は30%。
本来であれば2万円ほどが返金されるはずですが、今も戻ってきていないと訴えています。
被害を訴える保護者は「(チラシが)学校で配られているという安心感があった。もうこれ以上この団体でキャンプに行く子供がいなくなればいいと思っている」と話しました。
イベントの後援には各地の教育委員会の名前が並びますが、運営団体の元職員によると、実際には半分ほどが市の承認を受けていないといいます。
宮城復興支援センター・元職員:
返金トラブルもあったので、市に相談がきたりするじゃないですか。これはまずいとなって、承認が下りなかった。それがざっと半分くらいはあった。
被害を訴える保護者は「後援してない団体も載ってるんですね。いろんな人の善意の気持ちをすごく踏みにじってるなと」と話します。
団体との間でトラブルとなっているのは参加者だけではありません。
イングリッシュキャンプを開催した宿泊施設やキャンプ開催にあたり使用した大型バスの代金が今も支払われていないことが、FNNの取材で明らかになったのです。
宮城復興支援センター・元職員:
(Q.未払いはどれくらい?)施設でも数百万円あると思う。バスに関しては1500~2000万円あると思う。保護者に返すお金は数千万単位であると思います。なのでざっくり億前後はあるのでは。
未払い金の総額は億単位に上る可能性があるといいます。
仙台市にある事務所は22日も人がいる気配がありません。
棚には「管理リスト2025返金用紙発送済み」と書かれたファイルがあるのが確認できました。
FNNは今週、責任者の自宅へ。
しかし、インターホンを押しても反応はありませんでした。
団体の代表について、元職員はこう指摘します。
宮城復興支援センター・元職員:
結局目先の金が欲しいのだと思う。彼自身も困窮しているので、お金に困っているので、稼ぐために一応募集をかけているのかなという感じはします。
「イット!」は22日、現在も名義上、団体の代表理事となっている女性に話を聞くことができました。
宮城復興支援センター・元代表理事は「退職したのは3~4年前です。こんな状況になっていることは全く知りませんでした。子供たちのことを思うと胸が痛いです」と話しました。
宮城復興支援センターの本社がある宮城県によると、返金トラブルの相談は2025年3月から急増。
これを受け、県は5月1日に立ち入り検査を行い、少なくとも216件の返金が遅れている事実を確認したということです。
この問題について、宮城県の村井知事は21日、「返金トラブルが相次いでる状況については、登録行政庁の立場として誠に遺憾。無理な営業をした結果がこのようになったのではないか」と述べました。
宮城県は23日までに返金するよう行政指導を行い、支払われなかった場合は、業務停止処分も視野に対応を検討することにしています。
行政も動き出した今回の返金トラブル。
被害を訴える保護者は「お金だけじゃなくて、子供を預けるような団体がきちんとしていない団体ということに不安を感じる」と話し、不安に加え「子供は悲しんだだけじゃなく、お金も戻ってこない。二重の苦痛を味わう。ちょっと信じられない」と怒りも募るばかりです。
団体側に返金する意思はあるのか。
誠意ある対応が急がれます。