女子野球の全国大会出場を目指す岩手県内の中学生たちの合同練習会が5月、岩手県遠野市で行われ、選手たちがライバルとともに汗を流しました。

はつらつと白球を追う少女たち。8月に京都府で開かれる中学女子野球の全国大会「全日本中学女子軟式野球大会」に県選抜チームとして出場を目指している女子中学生です。

5月11日、遠野市のグラウンドで初めて合同の練習会が開かれ、同じ志を持つ選手が一堂に介し汗を流しました。

視察に訪れていた県野球協会の菊池徳男会長は選手たちの印象について「能力の高い選手が集まった」と高く評価しています。

県野球協会 菊池徳男会長
「今の子は体格がいい。スピード感あふれるチームになると思って見ていた」

県内では2024年に花巻東高校の女子硬式野球部が全国大会で準優勝を果たし輝かしい成績を残しました。

また全日本女子野球連盟が2024年11月に花巻市を、2025年1月に盛岡市を「女子野球タウン」に認定。
自治体とともに女子野球の普及振興を通して地域活性化に取り組んでいます。

こうした県内の女子野球界の盛り上がりは少女たちの追い風となっています。

全日本中学女子軟式野球大会には2019年の第4回大会以降、人数不足などを理由に岩手県のチームは出場できておらず、2023年と2024年は47都道府県中岩手県だけが出場できていませんでした。

しかし県内の女子野球人気の高まりを背景に、2025年は34人の希望者が集まったため大会出場のめどがたったということです。

その34人の中から注目の選手たちを紹介します。

まずは遠野市の「岩手絆Venus」所属・和多田矢選手(15)、好きな野球選手はドジャースの山本由伸投手です。

出塁すれば必ずと言っていいほど盗塁を決めるという俊足が持ち味です。
チームでは4つの変化球を操るピッチャーとして活躍、2025年は扇の要キャッチャーにも挑戦しています。

岩手絆Venus 和多田矢選手
「しっかり確実に1点を入れる走塁をしたり、守備の面でも色んなボールを捕りにいけるようにしたい」

2人目は沿岸の気仙地区と盛岡地区で活動する「IWATE女子フレンズ」所属・戸羽ひより投手(14)、好きな野球選手はドジャースの大谷翔平選手です。

サイドスローから投げ込むキレのある最速110キロのストレートが強み。
さらにスライダー、チェンジアップ、シンカーも操り、長いイニングを投げることができる技巧派のピッチャーです。

IWATE女子フレンズ 戸羽ひより投手
「(バッターの)タイミングを外すのが自分の強みだと思っている。球速をもっと上げて(アウトを)守備で取って抑えるピッチャーになりたい」

最後は奥州市の「櫻QueenBeeZ」所属・深井穂佳選手(14)、好きな野球選手は強豪・富士大学や社会人野球でも活躍した父・展広さんです。

深井選手の魅力は中学生とは思えない豪快なスイング。思い切りのいいバッティングでライトからレフトまで広い角度に鋭い打球を放ちます。

櫻QueenBeeZ 深井穂佳選手
「プレーとかバッターで目立つ選手ではないので、周りを見てしっかり声を出せるよう頑張っている」

全日本中学女子軟式野球大会に県選抜チームの出場が正式に決まるのは6月下旬。
そうなればベンチ入りできる選手は25人にまで絞られます。

選手たちはライバルたちと互いに高め合い、それぞれの持ち味を最大限にアピールして練習に取り組んでいます。

県野球協会 菊池徳男会長
「自分の持っている実力を全国の舞台で出せる、そういう人間にして送り出したいし、『岩手県ここにあり』と活躍してくれればと思う」

遠ざかっていた全国大会を今はっきりと見据える少女たち。
大舞台での活躍を目指し野球を全力で楽しんでいます。

全日本中学女子軟式野球大会は8月21日から京都で開かれます。
県選抜チームの出場が正式に決まれば、次は選手を派遣するための資金が課題になると見込まれています。
その際、県野球協会では寄付を募ることにしています。

岩手めんこいテレビ
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