2024年8月に熊本・大津町の海外派遣事業に参加した女子中学生が、アメリカのプールで死亡した事故をめぐり、事故検証委員会が5月16日に調査報告書を提出した。委員会は報告書で「水深約4メートルあったプールに対する、町の危機認識と対策が十分でなかった」と指摘している。
2024年に起きた女子中学生の死亡事故
この事故は2024年8月、熊本・大津町が国際交流事業として姉妹都市のアメリカ・ヘイスティングズ市と行っている海外派遣事業に参加した女子中学生が、現地のプールでおぼれ、死亡したもの。

大津町は、第三者の専門家など5人で構成される事故検証委員会を設置。委員会は2025年1月からヘイスティングズ市や大津町がまとめた記録などを基に、原因などを調べるとともに、再発防止策について議論を重ねてきた。
危機認識と対策の不十分が最大の原因
5月16日は、委員長を務める熊本大学の中川保敬名誉教授が金田英樹町長に報告書を手渡し、報道陣に概要を説明した。

報告書では「事故が起きたプールは水深がおよそ4メートルあり、極めて危険度が高い場所での活動だった」とし、「危機認識と対策が十分でなかったことが事故の最大の原因である」とした。

さらに、プールの水深など詳しい構造を事前に把握しておらず、随行した職員にも伝えられていなかったことは「重大な問題」と指摘。「参加した生徒にプールへの立ち入りを禁止していれば、防ぐことができた」と結論づけている。

中川熊本大学名誉教授は「大きな原因としてはやはり、リスク管理をしっかりしていなかったことに尽きる」と述べた。

大津町は報告書について遺族に説明したあと、5月中にホームページで公表する方針。
(テレビ熊本)