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「おなか痛いくらい緊張しています。女の子っぽくできるところまで魅力を見せられたらと思います」

富山県射水市で120年以上続く獅子舞行事。今年、初めて女性が天狗役を務めた。その主役は、かつて不登校を経験した高校1年生の稲垣美杏さんだ。

仲間外れから不登校へ

美杏さんの中学時代は決して平坦な道のりではなかった。中学1年生の時、クラスメイトから仲間外れにされる経験をした。

「普段一緒に遊んでいたグループから仲間外れにされていると。教室ではいつも休み時間なりはグループで仲良くいた、それがうちの子だけ外されて…移動教室とかでも一緒にいかないようにしたりとか…」と、父・稲垣貴司さんは当時を振り返る。

学校側の対応は美杏さんと家族の期待を裏切るものだった。校長や担任教師は美杏さんの訴えを聞き入れず、「美杏さんが悪い」と決めつけたという。この態度が決定打となり、美杏さんは中学1年生の9月から不登校となった。

新たな挑戦への一歩

しかし、美杏さんは諦めなかった。クラス替えをきっかけに中学2年生で通学を再開。そして今年春、無事に中学校を卒業し、高校生となった。

高校生活の新たな挑戦として、美杏さんは地域の獅子舞行事に参加。女性初の天狗役を務めることになった。

「お姉ちゃんが結婚して家で花(お祝いの舞)をするのでお姉ちゃんに見せたいと思って」と、美杏さんは獅子舞への参加理由を語る。

1か月以上、ほぼ毎日練習に励んだ成果を大好きな姉・藍さんの前で披露した。

「ところどころ失敗もしたが自分なりにできたので良かった。一生に1回のお姉ちゃんの花(結婚祝い)なので良かった」と、美杏さんは晴れやかそうに語った。

未来へ向けた力強いメッセージ

辛い経験を乗り越えた美杏さんは、今、悩んでいる人々へ力強いメッセージを送る。

「少なかったけど信じてくれている友達の応援や地域の人や親が支えてくれたことで頑張れた。1回落ち込んだことがあったけど、それを人生の通り道だと思って、深く考えずにこれから人生長いと思って頑張ってください」

高校入学後、美杏さんはサッカー部に入部。新しい環境で日々練習に励んでいる。将来の夢は管理栄養士。勉強にも熱心に取り組んでいるという。

富山テレビ
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