秋田県由利本荘市の温泉施設は、2024年7月の記録的な大雨で源泉を供給する配管が流される被害を受けました。1カ月後に再開されましたが、夏休みの書き入れ時に営業できなかったことが尾を引き、2025年2月から営業ができなくなっていました。しかし「再開してほしい」との住民の要望が熱く、市の直営で14日から営業を再開。大雨を乗り越え、再スタートを切りました。
営業再開を前にのぼりを立てる職員。「たくさん来てほしい」と期待を膨らませていました。
14日に営業を再開したのは、由利本荘市東由利にある「黄桜温泉 湯楽里(ゆらり)」です。
職員の期待通り、再開を待ち望んでいた多くの住民が営業開始を待っていました。
オープン当初から施設を利用していた客は「毎日ではないが来ていた。夜、電気がついていないので寂しいなと思っていた。早く誰かやってくれる人がいないかなと待ちに待っていた」と再開を喜んでいました。
湯楽里は、2024年7月24日の記録的大雨で源泉から湯を送るパイプが破損し、営業停止を余儀なくされました。当時は夏休みの書き入れ時で、約1万1000人の利用を見込んでいただけに大きな打撃を受けました。復旧工事を終え8月9日に営業を再開したものの、繁忙期に客を逃したことで経営が立ち行かなくなり、2025年1月末に再び営業を断念しました。
「開店です!営業再開です。いらっしゃいませ」という職員の声が響いた午後1時過ぎ、約3カ月ぶりに営業が再開しました。
利用客は早速、一番風呂を堪能していました。
羽後町から来た利用客は「最高!温まりやすくて、夏場はべたつかないので、ほかの温泉よりもベスト。営業再開はうれしいの一言。長くやってほしい」と久しぶりの温泉を楽しんでいました。
今回は「再開してほしい」という多くの住民の要望を受けて、由利本荘市の直営で営業再開を実現。営業を停止する前に働いていた6人が、施設のスタッフとして再びおもてなしします。
常連客が訪れると、思わず涙が込み上げます。
開業当時からのスタッフ・鈴木優子さんは「知り合いの人が待っていたので、驚いてうるっときた。大雨がなかったら前の状態で続いていたと思うが、仕方がないことなので、これから頑張っていきたい」と意気込んでいました。
地域の憩いの拠点が復活し、住民は「東由利の人たちとも一緒になるし、友達と会って話をするのが楽しい。ここで交流できることが一番」とうれしそうにしていました。
由利本荘市東由利総合支所・加藤仁さん:
「隣の道の駅と一体となった活動の場所と思っているので、再開できたことで、ますますこの地域の活性化がなると思うのでうれしい」
復活を遂げた温かい温泉が住民同士の絆を深め、地域を癒やします。