今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。5月14日は備蓄米放出後もコメの価格高騰が続く背景を取材しました。担当は森岡さんです。
(森岡紗衣記者)
「農林水産省が発表している全国のスーパーでのコメの販売価格の推移です。5月4日までの1週間に販売されたコメの平均価格は5キロあたり4214円でした。2024年12月以来18週ぶりに下落しましたが、24年の同じ時期と比べると約2倍と、依然として高止まりの状況です」
(長尾龍希キャスター)
「高い、高いと言われていますがグラフにするとわかりやすくなっていますね」
(森下花音キャスター)
「(コメを)買うのをためらいますよね」
(森岡紗衣記者)
「日本の食卓に欠かせないコメの価格高騰ですが、実際に日々の買い物をしている人たちはどう感じているのか、岡山市のスーパーを取材しました」
岡山市北区にあるスーパー、グランドマート津高店です。
(客は…)
「高くてどうしようかと思う。きょうは(購入を)諦めて帰る」
「(子供たちが)白米が大好きなのでたくさん食べられるように安くなってほしい」
「コメだけでなく他のものも値上がりしているので、だんだん厳しくなってきている」
日常的に買われる主食だけに長引く価格高騰は家計への影響も大きく、「買い控え」の動きも出ています。
(グランドマート 岡本和恵取締役)
「客は銘柄よりもちょっとでも安いものを選ぶ。「きぬむすめ」は特Aをとってすごくおいしいと評判なので、この辺のコメが今一番売れている」
人気のコメは5キロで税込み約5000円のものだといいますが・・・
Q:例年だとどのくらいの価格?
(グランドマート 岡本和恵取締役)
「(5キロ)2000円弱。税込みでも2000円いくかいかないかくらい」
家計への負担を少しでも減らそうと、ニーズが高まっているのが2キロの少量サイズです。この店では需要に合わせて、売り場を拡大。さらに、こんな商品(米に足す麦)も異例の人気だといいます。
(グランドマート 岡本和恵取締役)
「少しでもコメの分量を減らしたいが、白米を食べたい客のニーズに応えている。今までは月に1個売れるかどうかだったが、毎日どれも売れている」
店側もこうした消費者の動きに合わせて売り場づくりを工夫したり、値上げの前には事前に告知をするなどの対策をとってきましたが、長引く価格高騰に限界があるのも実情です。
(グランドマート 岡本和恵取締役)
「客に安い値段で買ってもらいたいが、うちでは在庫を(備蓄)できないので、(値上げ前に)客に備蓄してもらう。客に協力を仰がないと全ての商品が値上がりしているので店だけの対応だけでは不可能」
(森下花音キャスター)
「スーパーも工夫をしているんですね」
(長尾龍希キャスター)
「店側もコメを安く買って欲しいという願いがあるんですね。家計も、スーパーも苦しいということだが、なぜここまで価格が上がっているのでしょうか」
(森岡紗衣記者)
「コメの価格高騰の原因の一つとされているのが、需要の増加です。コロナ禍が収束し、外食の機会や外国人観光客が増加したことで、コメの需要が増加しました。また昨今の記録的な猛暑や水不足などの異常気象により、収穫量が減少したことなども挙げられています。価格高騰の背景にはコメ不足という部分が大きくあるんです」
(長尾龍希キャスター)
「そもそもコメが不足している状況でニーズが高まって、ついていけない状況」
(森下花音キャスター)
「スーパーによく行くが、棚にコメが並んでいなかったりします」
(森岡紗衣記者)
「そこで政府は備蓄米の放出に踏み切りましたが、岡山県内ではいまだに行き渡らず、目立った効果がみられていない場所が多いようです」
政府は2025年3月から備蓄米の放出を段階的に進めています。しかし・・・
(グランドマート 岡本和恵取締役)
「当社には備蓄米は一切来ていない」
なぜこのような状況になっているのか、備蓄米の受け渡しに参加するJA全農おかやまに話を聞きました。
(JA全農おかやま農産・園芸部 小原久典部長)
「市場に備蓄米を有事の際以外に出すことが今までなかったので、一挙に放出されるということで、迅速な対応はしているが時間がかかる」
そもそも備蓄米とは政府が大規模な災害や、世界的な穀物不足などの有事の際に「コメの供給を安定させる」ためにあります。
(JA全農おかやま農産・園芸部 小原久典部長)
「これまでは東日本大震災の時に4万トンほど(放出した)。津波などの被害によってコメがなくなり4万トン放出されたことはある」
つまり今回のようにコメの価格が高騰したことによる放出は過去にないこと。そのうえで大量の備蓄米を全国に一斉に流通させようとすると人手不足やトラックドライバーの確保といった物流の課題も大きく立ちはだかるといいます。すぐに届けられない状況のなかで農家が気にしているのは消費者の変化でした。
(JA全農おかやま農産・園芸部 小原久典部長)
「値段が上がるとコメ離れにつながると生産者も危惧している。適正な価格で流通させることが一番良い」
(森下花音キャスター)
「前例にない事態によって流通に時間がかかっているということなんですね」
(森岡紗衣記者)
「いまは備蓄米に大きな期待がかかっていますが、そもそも備蓄米がコメの価格高騰が理由で放出されるのは初めてのことなんです。わずかながら販売価格が下がったので、一定の効果は出始めていると言えるかもしれません」
(長尾龍希キャスター)
「気になるのは今後のコメの価格」
(森岡紗衣記者)
「お伝えした通り備蓄米を一気に放出するのは難しいので、高値はしばらく続くと見られています。ただ、新米の時期には価格が動く可能性もあり、その動きが上昇なのか下落なのかはまだ不透明です」