静岡県浜松市の下水処理施設で試験的に開始しているウナギの養殖事業。処理の中で発生し、これまでは使われていなかった熱エネルギーを利用した取り組みで地元の養鰻業者も注目しています。
落合健悟 記者:
こちら水槽の中でウナギが養殖されているんですが、実はここ、下水処理施設なんです。
浜松市の下水処理場西遠浄化センターの運営企業が4月から試験的に始めたのがウナギの養殖です。
5月14日はこの取り組みについて記者発表会が開かれました。
西遠浄化センターで下水処理をする過程で発生する熱エネルギー。
これまで使われていませんでしたが、ウナギの養殖に必要な井戸水を温めるために使います。
浜松ウォーターシンフォニー・中村匡志COO:
温水を余剰熱で作ってかけ流して、なおかつその水を全て下水処理場で処理するという温水かけ流し方式は日本初であるという風に考えております
一般的にウナギの養殖は石油や天然ガスなどの化石燃料に頼る部分が大きくなっています。
今回の取り組みでは化石燃料に依存しない持続可能な養殖技術の確立を目指すということです。
また、取り組みに協力している地元の漁協も新たな“可能性”に注目してます。
浜名湖養魚漁業協同組合・徳増源登 理事:
できたウナギかどのような色合いになるのか、もうちょっと肥育するのかなというところも興味がありますので、協力させていただくことになりました
4月3日に養殖を始めたウナギの中には1カ月余りで50グラムほど大きくなっている個体もいるということです。
浜松ウォーターシンフォニー・中村匡志COO:
国内2000カ所ある下水処理場、いろんなところで実施できるものと思っているので、ウナギに限らず幅広い魚種に対応して下水の新たな価値を創造できればと考えております
今後、ウナギの育ち方や必要な費用などを分析しながら、2028年3月に結果を取りまとめる予定だということです。